【2022/01/31】

 かつて十日町市や周辺地域では、農閑期の冬場の副業として機を織り、品物を織物業者に納める「出機(でばた)」を手掛ける家が多くあった。「織り」を祖業とする吉澤織物(十日町市)も、外部の職人に支えられてきた。

 しかし、友禅染といった華やかな「染め」の着物が人気となる半面、色味が地味な織りのニーズが減少。1970年代以降、比例して織りの外注も減った。

七代目吉澤与市の作品「極み」。織りの紬に染め、絞り、刺繍、箔と、着物の技術が凝縮されている

 その軽さから「蝉(せみ)の翅...

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