新作「街とその不確かな壁」を刊行した村上春樹さん(新潮社提供)
新作「街とその不確かな壁」を刊行した村上春樹さん(新潮社提供)

 世界的な人気作家、村上春樹さん(74)の新刊小説「街とその不確かな壁」が4月13日、発売された。新作を刊行した村上春樹さんがインタビューで思いを語った。主なやりとりは以下の通り。

-1980年発表の中編「街と、その不確かな壁」を基にしている。

 「最初に書いたのはデビューしてすぐの頃。書き方の訓練ができていなかったので、中途半端な形で発表し、すごく後悔していた。キャリアの中で書き直したい、きちんとした形にしたいとずっと思っていた」

-かつては書き直しに否定的な見解を示したことも。

 「まだ時期が来ていなかったんでしょうね。70歳を超して、そろそろ書き 直してもいいかなと思ってきた。あといくつ長編を書けるか考えるから、きちんと決着をつけないといけないと」

-執筆の経緯は。

 「第1部は中編を全く新しい形に...

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