B1中地区の新潟アルビレックスBBは2季連続のリーグ最下位に沈み、来季、B2へ降格することになった。「バスケ王国」と呼ばれる新潟で、2000年に日本初のプロチームとして発足。フロントランナーとして歩んできたチームが、なぜ不振にあえいだのか。今季の戦いを振り返るとともに、昇格へ向けた課題を探る。
内外から次々とシュートを沈められ、みるみる広がる点差。挽回しようと狙った3点シュートはリングにはじかれた-。
勝利でしかB1残留の望みがつながらない緊張感の中で始まった、5月6日のホーム・アオーレ長岡での信州戦。新潟アルビレックスBBは一時、3点差に詰め寄ったが引き離され、3千人を超えるファンは試合終了とB2降格を同時に告げるブザーを聞いた。
7日の最終戦も敗れ、60試合で積み上げた勝利はわずか13。降格の崖っぷちに追い込まれてから4連勝と意地を示したが、わずかに見えた「奇跡の残留」は幻と消えた。
今季、繰り返してきたのは、6日のように途中まで接戦を演じても、勝負どころでミスを犯し、突き放されるパターンだ。
原因の一つに、苦しい局面を打開できる「絶対的エース」や、精神的支柱となるベテランの不在を挙げる声は少なくない。
ホーム戦に通う見附市の50代男性ファンは、「若い選手が多いせいか、流れが悪くなると取り戻せない」と嘆き、2018-19年にチームを中地区優勝に導いた元日本代表ポイントガード、五十嵐圭(現群馬)のような選手が必要だと訴える。
チームとしてのまとまりを欠いていたとの見方もある。
昨年10月、前監督が突然休養に入り、ファンや報道陣に詳しい説明がないまま、2カ月後に退任。引き継いだヘンリー監督と選手、スタッフの間で戦術面の理解や信頼関係を築く時間はなかった。「今季は試合中のベンチが静かだった」。別の男性ファンは、チームの雰囲気が悪かったと指摘する。
新潟は地区優勝の翌年以降、エースのガードナーら主力選手が流出し、成績が落ち込んだ。そんな中で21年に持ち上がったのが、当時の社長がスタッフに暴言を吐くなどしたパワーハラスメント問題だった。
その後、チームの顔だった五十嵐も移籍。昨季は新型コロナウイルスの影響で降格こそなかったが、リーグの全体順位で最下位に沈んだ。
21年6月に就任した川上明社長は、これまでの選手補強について「監督らの希望を聞きながら必要な手を打ってきた」とする一方、「結果として功を奏していないと言わざるを得ない」と認める。
関係者の一人は「どういうバスケを目指すのかを共有できないまま、最後まできてしまった」とため息をつく。定まらなかった先発メンバーが、そうした内情を物語っている。