沼澤茂美さんが撮影した超新星(沼澤さん提供)。口径15センチ、焦点距離300ミリの望遠鏡に天体撮影用のカメラを取り付けて撮影。
撮影地は新潟県聖籠町
沼澤茂美さんが撮影した超新星(沼澤さん提供)。口径15センチ、焦点距離300ミリの望遠鏡に天体撮影用のカメラを取り付けて撮影。 撮影地は新潟県聖籠町

 2100万光年離れた銀河で爆発した星の光が、地球に届いている。2023年5月に見つかったばかりの「超新星」の光で、新潟県村上市の天文写真家でイラストレーターの沼澤茂美さんが5月31日、聖籠町で写真に収めた。

 「超新星」は星の最期に起こる大爆発で、星そのものが粉々に吹き飛んでしまう現象。星の「死」を意味するもので、爆発の際には非常に明るい光を放つ。

 2100万光年とは、光の速さで2100万年かけて到達する距離。およそ2100万年前に発生した超新星爆発による光がいま、地球に届いていることになる。

 国立天文台によると、今回見つかった超新星は「SN2023ixf」という符号で呼ばれる。5月19日(世界時)に、板垣公一さんによって発見された。発見時の明るさは約15等級だった。

 沼澤さんによると、板垣さんは山形県の著名な超新星の捜索者で、これまでにも多くの超新星を発見している。今回の超新星は、おおぐま座の方向に見える「M101」という銀河の中で見つかった。

 「M101」銀河は地球から2100万光年ほど離れているが、比較的「近い」距離なのだそう。近距離の銀河で超新星が見つかるのは、2014年の「M82」以来で、「M101」銀河では2011年にも超新星が出現しているという。

 星の明るさは発見時の約15等級から、現在は小型の望遠鏡を使えば確認できるほどの11等級となっている。これほどの明るさで見える超新星は珍しいそうだ。

 沼澤さんは「今後は次第に暗くなって見えにくくなるので、今が観望のチャンス。ぐずついた天気が続いているが、各地の天文台などで行われる観望会に出かけてはいかがでしょうか」と観測を勧めている。