新潟県内の地震被害想定について語る新潟大災害・復興科学研究所の卜部厚志所長=新潟市西区

 新潟市などに大きな被害が出た新潟地震から6月16日で59年を迎える。今年は特に全国で地震が頻発し、新潟県でも、いつ大地震が発生してもおかしくない。地震を引き起こす活断層の場所によっては、新潟市を中心に甚大な家屋倒壊や津波被害も想定される。ただ、いつ、どの程度の規模で起こるか予測は難しく、専門家は「事前の備えが生死を分ける」と呼びかける。(報道部・布川舞子)

 新潟県によると、県内は内陸の活断層が多いのが特徴という。県内では木造建物のうち約5割が旧耐震基準の古い建物のため、直下型地震で大規模な家屋倒壊が発生する可能性がある。

 新潟大災害・復興科学研究所の卜部厚志所長(57)は、県内で最も大きな被害が想定されるケースは、長岡平野西縁断層帯(新潟市沖-小千谷市、長さ南北約80キロ)=図参照=が動いた時だとする。

 長岡平野西縁断層帯は四つの断層が連なり、どの断層が動くかによって被害のケースや地域が異なるという。

 最も北側の断層(図中①)の場合は、約5メートルの津波が地震発生からわずか5〜10分で新潟市沿岸部に到達する。その後、河口部から流れ込み、新潟市の広範囲に浸水。津波による死者は市内で約270人と予測する。

 卜部所長は「『強く揺れたらすぐ津波』と考え、沿岸や河口部にいたら迅速に離れてほしい」と呼びかける。津波の場合は指定されている避難場所にはこだわらず、海や川の反対側に退避し、できるだけ高い建物に逃げ込むことが重要だ。

 図中①の南側にある断層(図中②)は、新潟市西蒲区の角田山付近にあり、大きく揺れると、古い家屋を中心に大規模な倒壊が想定される。卜部所長によると、市内では...

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