書についての著作、論考で知られる石川九楊(きゅうよう)の書作品を2年半前に初めて見て、困惑するほどの衝撃と、忘れがたい印象を受けた。

 書だと知らずに見れば、抽象絵画と思う人が多いだろう。が、「絵ではない」と、それ自身が言っている気がしたのだ。

 この1年、石川の著書を読み、初見の記憶を反芻(はんすう)した。納得したのは、石川が書は美術より文学に、そして音楽に近いと書いていたことだ。

 絵は大概、小刻…

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