9月3日午前5時半前、新潟県南魚沼市長崎の畑で、70代夫婦がクマに襲われた。南魚沼署によると、2人は顔や腕を負傷して病院に搬送されたが、命に別条はない。クマによる人的被害は県内で2023年2件目。明るくなってから住宅のそばで人が襲われたことに、住民は驚いている。
南魚沼署によると、夫が自宅の隣の畑に水をまいていたところ、体長約1メートルのクマが現れてもみ合いになり、顔や両腕をひっかかれたり、かまれたりした。夫の叫び声を聞いて駆けつけた妻も、右腕などをひっかかれてけがを負った。近隣住民が119番通報した。クマはその場からいなくなった。
新潟県は9月1日、2020年以来となるクマ出没警戒警報を発令し、注意を呼びかけていた。
2人が襲われた畑近くの路上には、クマの足跡が点々と残っていた。地元猟友会のメンバーも出動して現場を確認し、付近の山中2カ所にわなを仕掛けた。
現場の南魚沼市長崎は集落の背後に山が広がる。住民は「山の方でクマが出ることはよくあるが、人が襲われたのは初めて」と声をそろえる。
近くの住民(67)は、家族が悲鳴を聞いて駆けつけた。襲われた男性がうずくまっていたが、意識はあったという。周囲には男性の眼鏡、入れ歯、バンドの切れた腕時計が落ちていたという。
住民は「日が昇らないうちならまだしも、明るくなってから里に出てくるなんて。しかも、家のすぐ隣で襲われるなんて考えられない」と話した。