タブレット端末を使った亀田中の授業。デジタルとアナログの併用に努めている=新潟市江南区
タブレット端末を使った亀田中の授業。デジタルとアナログの併用に努めている=新潟市江南区

 国の「GIGA(ギガ)スクール構想」により、タブレット端末が小中学生に1人1台配布され、学校現場で活用されている。新型コロナウイルス禍のオンライン授業などに役立てようと、国が前倒しで導入してから約1年。今やタブレットは鉛筆やノートと並んで、学びに欠かせなくなっているという。子どもたちがICT(情報通信技術)を身近に感じる機会になる一方で、急速な変化に教員や保護者の間では戸惑いも垣間見える。新潟県内小中学校の学びの転換期を探る。

 新型ウイルスの流行「第6波」が県内でも猛威を振るい始めた1月中旬、聖籠中(聖籠町)のがらんとした教室で先生だけがパソコンに向かっていた。生徒が感染し、1、2年生が学年閉鎖に。3日間、5教科の授業をオンラインで行った。朝の会、帰りの会も実施。登校できない中、学びと交流を育んだ。

 「学校に行く準備をしなくても授業を受けられた。家でも集中できた」。2年の女子生徒(13)は振り返る。配布されていたタブレット端末を使い、自宅で授業を受けた。

 聖籠中で情報主任を務める佐藤康教諭(35)は「教員は事前に資料を送ったり、実験動画を見せたりして、それぞれ工夫してやっていた。画面越しでも生徒の様子を確認できて良かった」と実感を込める。

 授業以外に毎日の体調を報告する際もアプリを利用。佐藤教諭はオンライン授業が続いていた時、体調に不安を感じていた生徒にメッセージを送ったこともある。「対面では言えない悩みを打ち明ける生徒もいた」とさまざまな場面で活用する。

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 感染下のオンライン授業だけでなく、通常の授業でも意見の集約や共有に活用される。従来は発言の機会が積極的な子どもに偏りがちだったが、授業支援アプリを利用すると全員の意見を集約し、共有することができる。子ども同士の対話を促し、考えを深めるために役立つという。

 新潟市江南区の亀田中では、デジタルとアナログのそれぞれの良さを取り入れ、場面ごとに使い分けるよう意識している。

 1月中旬、2年生の国語の授業では、作文を生徒同士が評価し合う場面でタブレットを使っていた。紙に書いた作文を撮影し、班のメンバーに送信。届いた作文の画像にはタッチペンで「説得力がすばらしい」「この視点には気付かなかった」などと書き込んだ。

 授業を受けた生徒(14)は「タブレットを使った授業で、以前より他の人の考えを知ることができるようになった。考えの幅が広がった」と話す。

 ICTを取り入れた教育に詳しい新潟大教育学部の土佐幸子教授は「うまくICTを活用すれば子どもたちの深い学びにつながる」と強調する。「教員の働き掛けがこれまで以上に大切になってくる」と言い、「教え方について教員同士で話し合うなど研究を重ねてほしい」と指摘する。

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 タブレットは学びの新しい道具となった一方で、授業中に趣味の動画を見るなど授業と関係ないことに使う児童生徒もいるという。「教員より子どもたちのほうが使いこなすのは早く、制限をかけてもかいくぐる」と憂う学校関係者は多い。

 無断で撮影した画像を加工するなどの行為はいじめとして報告されている。県教育委員会と新潟市教育委員会によると、タブレットを使ったいじめは昨年4~11月に県内の小中学校で20件確認された。

 情報モラルに詳しい今度珠美さん=鳥取県情報モラルエデュケーター=は「上手に使う知識を身に付けさせることが重要だ。悪い使い方をしたから遠ざけるのではなく、子どもたち自身が問題を考えて解決できるよう導くことが大切」と訴える。

<GIGA(ギガ)スクール構想>GIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の略で、「全ての子どもに世界につながる革新的な扉」という意味。文部科学省は小中学生に1人1台のタブレット端末を配布するなど、教育のICT化を進めている。端末配布は2019年度からの5カ年で順次導入する予定だったが、ウイルス禍を踏まえて大半の小中学校が21年3月末までに前倒しで導入した。