歴史的にも、文化的にも深い関わりがある新潟と福島県会津地域。両エリアをつなぐ街道沿いには、魅力的なお酒と郷土料理がいっぱい!おいしい新潟・会津の再発見へ、宮村優希さんが出掛けました。

※福島県は9/30までまん延防止等重点措置が適用されています。解除後にお出掛けください

五泉エリア
 

国道、鉄道、阿賀野川で会津とつながってきた清らかな水が自慢のまち

地元の風土 日本酒にのせて

金鵄盃(きんしはい)酒造

 残っている最も古い記録で1824(文政7)年から続く酒蔵。「土蔵やレンガの壁に時代の面影を感じます」と宮村さん。特に、戦後間もなく火事で被災し、再建した蔵は圧巻。茂野知行社長は「戦後の物資不足の中、祖父が焼け残った酒と物々交換して秋田から木材を調達したそうです。それも良質な木ではなく、短い木材だけで組み上げられている。何としても酒造りを続けたかったのでしょうね」と貴重な話を聞かせてくれた。

 仕込みに使うのは、加茂市との境界にある白山から流れ込む伏流水。くせのない極軟水は、発酵がゆっくり進むため、すっきりとした中にもうま味のある酒になる。「ここはかつて村松藩の城下町でした。現在は五泉市ですが、村松の風土を酒にのせて届けていきたいです」と茂野社長。脈々と受け継がれる酒造りへの情熱を感じた。

かつて使われていた煙突も風情がある
酒蔵のロゴが入った珍しいタンク
創業時から今も現役の井戸。深さは約8メートル
周囲の木々の緑や、店の前を流れる伏流水の美しさに感激
「すっきりと飲みやすく、華やかな香りですね」と宮村さん
五泉・村松産の米100%で仕込む吟醸酒「村松」1,455円(720ml)

│金鵄盃酒造│
場所 五泉市村松甲1836-1
電話 0250(58)7125
https://kinshihai.com/
※取材のため特別に見学させていただきました。通常、蔵見学、試飲はしていません。

鍾乳洞の伏流水 上品なうま味を引き出す

亀徳泉(きとくせん)

 約140年前、初代が大沢石を切り出す仕事中に鉱泉を発見し、宿を開いたのが始まりという亀徳泉。コイ料理の名店として知られ、その味を求めて各地から多くの人が足を運ぶ。花びらのように美しいコイのあらい、照りが食欲をそそるうま煮を食べて「コイってこんなにおいしいんですね!」と宮村さん。こちらのコイは、大沢鍾乳洞の伏流水で育ち、臭みが全くないのがその理由だ。また、うま煮は長年継ぎ足しされてきたたれを使っており、歴史ある店だからこそ出せるおいしさ。前菜のコイの塩焼き(季節により異なる)、西会津産のそば粉を使った十割そばも絶品だ。

コイ料理コース3,300円。小盛そば(616円)も追加できる
身が締まったコイのあらいはショウガじょうゆでさっぱりと

│亀徳泉│
場所 五泉市刈羽乙1360
電話 0256(57)2971
時間 11:00~18:00(18:00以降は要予約。コース料理のみ)
休み 火曜
https://kitokusen.com/

阿賀エリア

明治に新潟県に編入されるまで会津領。会津の西の玄関口

味わいは格別! そば打ちに挑戦

御神楽温泉 ブナの宿 小会瀬(こあせ)

 ブナの木々に囲まれた庭が美しい温泉宿の小会瀬。食事利用や立ち寄り入浴ができる他、そば打ち体験(1人1,500円・要予約)も人気だ。そば打ち初体験の宮村さんも、名人の手ほどきを受けながら、自家製そば粉100%の十割そばに挑戦。40~50分かけて打ち上げた後は、大広間でゆでたてを味わうことができる。そばと一緒に、大女将が畑で育てた野菜を使った天ぷらの盛り合わせや、季節の野菜の一品料理を追加注文するのもお薦め。また、大女将のご主人が作る、全国大会で最高賞を獲得したどぶろく「金よし」も、ファンを増やしているおいしさ。

「そば粉をこねるのも、延ばすのも体力を使います!」と宮村さん
緑豊かな自然の中に建つ一軒宿
天ぷらの盛り合わせ(920円~)と季節の一品(410円)も絶品。どぶろく「金よし」は1合440円、1本1,600円(720ml)

│小会瀬│
場所 阿賀町広谷乙2091-1
電話 0254(95)3535
https://koase.com/

新潟の代表的な味 淡麗辛口を楽しむ

麒麟山酒造

 毎日楽しめる飽きのこないお酒を追求している麒麟山酒造。全ての銘柄を、蔵から10キロ圏内で作られた酒米で仕込んでいるほどのこだわりだ。看板銘柄は「麒麟山伝統辛口」。「伝辛は祖父が大好きで、いつも家にあるんです」と宮村さん。麒麟山酒造では、最近、この伝辛の新しい飲み方も提案していて、その名も「麒麟山サワー」。氷をいっぱいに入れたグラスに伝辛と冷えた炭酸水を1対1で注ぎ、生レモンを入れたもの。もとは蔵人の皆さんが、仕事終わりに飲んでいたレシピなのだそうだ。宮村さんも「家でぜひ試してみます!」と興味津々。

麒麟山酒造本社では、全銘柄やオリジナルグッズを購入することができる(写真左)伝辛を特別に試飲。「淡麗辛口のすっきりした味わいで飲み飽きないですね」(写真右)
今春、ラベルを一新した麒麟山「伝統辛口」990円(720ml)

│麒麟山酒造│
場所 阿賀町津川46
電話 0254(92)3511
時間 8:00~17:00
休み 土曜・日曜・祝日
https://kirinzan.co.jp/
※試飲は特別に対応いただきました。通常、蔵見学、試飲はしていません。

会津エリア

上杉家や長岡藩など、新潟との縁が深い城下町・会津

旧陣屋の御屋敷 会津の味に触れる

割烹・会津料理 田季野(たきの)

 ヒノキで作られたわっぱにごはんと食材を入れて蒸し上げ、熱々をいただく会津のわっぱ飯の元祖として知られるお店。「田の膳」は、3種類の具がのった輪箱飯、郷土料理のこづゆなどがセットになっていて、会津の味覚を堪能できる。すっきりした飲み口の地元のお酒、「会津中将」(鶴乃江酒造)をはじめ、地酒も多数そろっている。

糸沢陣屋を移築した重厚な店舗
「田の膳」3,300円。前日までの予約が安心

│田季野│
場所 福島県会津若松市栄町5-31
電話 0242(25)0808
時間 11:00~20:00
休み 無休
http://www.takino.jp/

300年を超える伝統 日常を彩る一滴

花春(はなはる)酒造

 創業が1718(享保3)年の花春酒造は、会津の米、水を使い、地元の蔵人が酒造りを行う会津に根ざした酒蔵。ひと口飲むたび顔がほころぶ、日常に寄り添うお酒を造り続けている。1週間前までの予約で蔵見学ができる他、蔵に併設されている直売店「神指蔵(こうざしぐら)」でお酒の購入もできる。直売店限定の商品もあるので要チェックだ。

日々の食卓に花を添える酒づくりが信条
創業300年を記念して誕生した「結芽の奏」。香りがおだやかな純米大吟醸酒1,367円(720ml)

│花春酒造│
場所 福島県会津若松市神指町大字中四合字小見前24-1
電話 0242(22)0022
時間 9:00~17:00
休み 直売店は無休
http://hanaharu.co.jp

摂田屋(せったや)エリア

三国街道の要所で江戸時代は天領。蔵が立ち並ぶ醸造のまち

しょうゆ赤飯に煮菜 長岡の郷土料理堪能

割烹 新喜屋(しんきや)

 創業100年余り、摂田屋と共に歩んできた日本料理店。「醸造のまち彩り松花堂弁当」は、しょうゆ赤飯や車麩と身欠きにしんの煮物、旬の長岡野菜の料理など、長岡の伝統の味が詰まっている。発酵食ブームもあって、若い女性も酒かすを使った煮菜などに興味を持ってくれるそうだ。食前酒には鏝絵蔵(こてえくら)で知られる「機那(きな)サフラン酒」をどうぞ。

「醸造のまち彩り松花堂弁当」3,300円。2日前までに要予約(写真左)
食前酒として付く機那サフラン酒。1ショット200円で追加もできる

│新喜屋│
場所 長岡市宮内1-2-25
電話 0258(32)0994
時間 11:00~22:00(要予約)
休み 不定休
https://shinkiya.net/

日本酒の楽しさ 見て、味わって

吉乃川酒ミュージアム「醸蔵(じょうぐら)

 街歩きの立ち寄りスポットとして人気の吉乃川酒ミュージアム「醸蔵」。展示などを通し、創業470年余りという吉乃川の酒造りにかけてきた思いを感じることができる場所だ。プロジェクターでは昭和の頃のテレビCMが映し出されていて「個性があって面白いですね」と宮村さん。SAKEバーでの飲み比べや、売店での買い物も楽しい。

大正時代に作られた倉庫「常倉」を改装した施設
SAKEバーではいろいろなお酒をテイスティングできる(有料)
醸蔵限定販売の「醸蔵生原酒」2,192円(720ml)

│醸蔵│
場所 長岡市摂田屋4-8-12
電話 0258(77)9910
時間 9:30~16:30
休み 火曜(祝日の場合は翌日)
https://yosinogawa.co.jp/johgura/

三条エリア

江戸から明治期、中越と会津を結ぶ街道だった八十里越の新潟側の入り口

緑陰の下で深呼吸 自然の恵みを満喫

嵐渓荘(らんけいそう)

 清流の岸辺に佇む下田地区の温泉旅館・嵐渓荘。宿泊だけでなく、日中の食事利用もでき、地元の山菜や川魚、コイを使った料理が評判だ。郷土料理の「ひこぜん」は、粒が残るくらいにつぶしたごはんをわらじ形にして、えごまみそを塗って炭火で香ばしく焼いたもの。単品でも注文でき、お土産にも人気。料理に使われている名水「真木(まぎ)の清水」のおいしさも格別!

さまざまな山菜料理とアユの塩焼き、コイこくなどが味わえる山菜定食3,300円
下田産と只見産の米を使って仕込まれた米焼酎「八十里越」も一緒に

│嵐渓荘│
場所 三条市長野1450
電話 0256(47)2211
時間 ラウンジでの食事 11:00~14:30(L.O.13:00)
https://www.rankei.com/
※飲酒される場合、三条デマンド交通「ひめさゆり」(タクシー車両を利用した公共交通)をご利用ください。

洋酒樽(たる)で熟成 風味豊かな味に

福顔酒造

 飲んだ人が思わずえびす顔になるお酒を造り続ける福顔酒造。日本酒をウイスキー樽やバーボン樽などに入れて寝かせた洋酒樽シリーズが話題だ。小林章社長に「ロックやソーダ割りで飲むのもお薦めです。チーズやナッツ、チョコレートなどとの相性もいいんですよ」と教えてもらい、宮村さんも「日本酒のイメージが変わりますね!」とびっくり。

趣きのある外観の福顔酒造。蔵に直売店を併設
店頭では試飲もできる。「えびす様の絵が描いてあるおちょこがかわいいです!」と宮村さん
濃厚な香りが漂う「ブランデー樽で貯蔵した日本酒。FUKUGAO」4,180円(750ml)

│福顔酒造│
場所 三条市林町1-5-38
電話 0256(33)0123
時間 9:00~17:00
休み 土曜・日曜・祝日
https://www.fukugao.jp/
※蔵見学不可

新潟・会津 ゆかりの偉人を訪ねて

河井継之助
 津と新潟を結ぶ街道に縁がある人物といえば、幕末の長岡藩で軍事総督を務めた河井継之助。その才能と忠誠心から藩主が厚い信頼を寄せた人物だ。摂田屋や下田(三条市)との関わりも深く、北越戊辰戦争の際、摂田屋の光福寺には長岡藩本陣を置き、継之助は開戦の演説を行った。その後、長岡城奪還の戦いで足を負傷し、会津に逃れるために通ったのが八十里越。会津の人々の力も借りて只見までたどり着いたが力尽き、42歳でこの世を去った。

 

(assh 2021/9/9掲載)