還付詐欺の被害が相次いだことを受け、金融機関の利用客にチラシを配って被害防止を呼び掛ける西蒲署の署員ら=8日、新潟市西蒲区の巻信用組合岩室支店
還付詐欺の被害が相次いだことを受け、金融機関の利用客にチラシを配って被害防止を呼び掛ける西蒲署の署員ら=8日、新潟市西蒲区の巻信用組合岩室支店

 税金や医療費が戻ってくるとかたって現金をだまし取る還付金詐欺の被害が、ことしに入って新潟県内で多発している。8日までの被害認知件数は15件(暫定値)、被害総額は約1350万円(同)に上り、3カ月で昨年1年間の被害を上回った=グラフ参照=。現金自動預払機(ATM)に誘導し、金を振り込ませる手口で、被害は60代に集中。県警は犯人がATMで振り込み制限のある70歳以上を避け、60代を狙っているとみている。

 「介護保険料の還付金があります。キャッシュカードと通帳を持って金融機関に行ってください」。3月末、新潟市秋葉区の60代女性の自宅に、市役所職員を名乗る男から電話があった。女性は金融機関に行き、携帯電話で言われるままにATMを操作。他人名義の口座に2回合わせて約百万円を振り込んでしまった。

 役所の職員を名乗り、ATMに誘導し、携帯電話で指示を与えながら口座間の送金をさせる。還付金詐欺の典型的な手口だ。県警によると、2022年に認知した15件の被害者は全て60歳以上。そのうち60代が14件を占めており、県警はこの点に着目する。

 多くの金融機関は、ATMでキャッシュカードを用いて3年間振り込みをしていない70歳以上の顧客に対し、振り込み限度額を0円に設定するなどしており、窓口での対応を促している。捜査関係者は「間違いなく生年月日が載った名簿を見て(60代に)電話を掛けている」とみる。

 被害の規模も大きい。21年は認知件数が11件、被害総額は850万円だったが、22年は3カ月で上回った。過去5年でも既に最大になっている。

 還付金詐欺は21年に、大都市を中心に全国的に増加。新型コロナウイルス禍で医療費や保険に社会的関心が高まったことを逆手に取り、還付金詐欺が増えたとみられる。警察庁によると、全国の認知件数は約4千件で、20年の2倍以上。被害総額も約45億円で約8割増えた。被害は地方へ拡散した傾向があり、「全国的な波がことしになって本県に来た」(県警)形だ。

 県警は4月に入り、各署での啓発活動や金融機関への協力要請の徹底など被害の拡大防止に力を入れている。県警安全安心推進室は「携帯電話で話しながらATMを操作している場合は詐欺を疑い、警察に知らせてほしい。行政の職員がATMでお金の払い戻し手続きをすることは絶対にない」と呼び掛けている。