試験販売が好調だった丸正ニットの「ルーバー」=長岡市花園南1のWEST長岡店
試験販売が好調だった丸正ニットの「ルーバー」=長岡市花園南1のWEST長岡店
技術力とデザインに定評がある第一ニットの「ノアフ」=見附市柳橋町の同社

 キーワードは「自分たちが着たい服」。新潟県見附市のニットメーカー2社の20、30代の社員が手がけた新ブランドが、若い世代を中心に支持を得ている。機能性や質感にこだわり、アウトドア向けや上下で合わせて着られるセットなど、従来なかった展開で勝負。新型コロナウイルス禍に、原料費の高騰が追い打ちをかける中、新たな収益源に育て、産地全体を盛り上げようと意気込む。

 アウトドア向けブランド「ROUVER(ルーバー)」を2021年秋に発表したのは丸正ニットファクトリー(新町2)。アウトドア好きの社員4人が同1月から企画を練った。

 チーム代表の山本明奈さん(39)は「自分たちが着たいデザインを商品化するチャンスだと思った」と振り返る。キャップやセーターといった定番からキャンプ時に下着代わりにする「ベースレイヤー」など意欲的な商品をそろえた。

 10月に長岡市のアウトドア用品店などで試験販売を始め、ニットキャップを中心に2カ月で100万円以上を売り上げた。新規ブランドとしては好調な出足で、22年度は全国展開を視野に入れる。山本さんは「地方でも新しいことはできる。見附のものづくりの実力を知ってほしい」と語る。

 一方、第一ニットマーケティング(柳橋町)は、細かい編み目が特徴の「no+af(ノアフ)」を20年にデビューさせた。国内では同社だけが導入するという「フルファッション機FF30」を使い、技術力をアピールする。ジャケットやスーツのように上下セットでの着こなしも提案する。

 デザインなどを担当する内藤貴政さん(36)は「生地の質感を重視しており、あえて高級な毛糸ではなく、ポリエステルを使うこともある」と柔軟に対応すると説明。「ニットは1年中着られることを知ってほしい」と思いを語る。

 ノアフを含めた21年度の自社ブランドの売り上げは8千万円強。全社の売上高の1割ほどに育ってきている。22年度は2割まで引き上げるのが目標だ。

 両社が自社ブランドに力を入れる背景には、国内製品の低迷がある。

 ニットを含めた繊維製品は国内流通の大半を安価な輸入品が占め、国内の供給シェアは18年時点でわずか2・3%にとどまる。

 また見附のメーカーの製品の多くはアパレル大手のOEM(相手先ブランドによる生産)で、受注の多寡が収益を左右する。ウイルス禍で購買意欲が落ち込み、丸正ニットでは出荷量が感染禍前の約6割になった。世界的な原油高、資源高も経営にはマイナスだ。

 自社ブランドの展開には安定した収益の柱がほしいとの考えがある。丸正の佐野統康社長(56)は「若い社員のアイデアとベテランの技術力で現状を打破していく」と語り、見附全体に挑戦の動きが広がることを期待する。

 商品の問い合わせは丸正ニット、0258(63)3655。第一ニット、0258(66)4513。

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