◆「意外と話し好き」な松橋監督

 -ウイルス禍でサポーターの練習見学ができない状況が続いています。練習の雰囲気はどうですか?

 西巻賢介記者(以下敬称略) 私たち報道陣も、全ての練習が見られるのは1週間でオフ明けの一日だけです。そこだけで見ても、リキさん(松橋監督)はすごく選手の表情を見て、いろいろなことを感じ取っているなと思います。びしっと話すときは話す。笑顔でいじるときもある。職人ぽい人かなと思っていましたが、すごくよくしゃべる方で、意外でした。

練習前にスタッフと談笑する松橋監督=2月15日、聖籠町

 平澤大輔さん(同) すごくフレンドリーな人ですよね。僕が若造の記者だった頃、横浜マリノスでプレーしていたリキさんと、ばか話ばかりしてました。

 これは余談ですが、リキさんは「木村和司元日本代表のMF、FW。日本リーグの日産自動車、Jリーグの横浜マリノスでプレーし、FKの名手として知られた。2世」言われるほど、天才的なMFでした。さらに言えば、新潟の強化部長をしている寺川能人さんは滝川第二高(兵庫)のラモス瑠偉ブラジル出身の元日本代表。ヴェルディ川崎(当時)の司令塔として三浦知良らとともに活躍した。と言われていた。いまのアルビは木村和司とラモス瑠偉が引っ張っているんですよ!

 -話題をリーグ戦に戻させてください。4チームがJ1から降格してきた異例のシーズンですが、戦力図は?

 平澤 団子状態と言っていいと思います。下の方のクラブもまだまだチャンスがある。各チームとも、シーズンの最初の半分は、自分たちのスタイルを構築しようとします。昇格できそうか、降格しそうかが見えてくると、自分たちのスタイルより、相手への対策があからさまになってくる。リキさんがいろいろな選手を起用するのも、シーズン終盤での総合力という部分を見据えているのかもしれません。

◆課題は「アタッキングサード」

 -今の新潟に物足りない点は?

 西巻 敵陣ゴール前、3分の1のエリア。いわゆる「アタッキングサード」ですね。リキさんが先日、スペイン・バルセロナのペドリのゴールについて話していました。何回もキックフェイント入れて、ペナルティーアーク付近から決めた。選手たちに「あれを見たか?あれは落ち着いているからできるんだよ」と伝えたそうです。

 リキさんはアタッキングサードでの一工夫についてよく口にします。この点は選手個人というより、チームとしてこれからの取り組みになると思います。

 平澤 その点で言えば、第9節栃木戦の谷口選手のゴールは、新潟が目指しているエッセンスが含まれている気がします。

 本間選手のプレスから自陣でボールを奪い、ドリブルで運び、逆サイドに流れたクロスを藤原選手が拾い、左から組み立て直して、最終的に真ん中を刺した。高木選手のおしゃれな右足アウトでのラストパスも含めて、ゴールに至った崩しや展開は、いまの新潟のいい部分が詰まっている。これからのモデルケースじゃないでしょうか。僕は会社で嫌なことがあったらこのゴールを見ます。そのぐらい好きなゴールです。

①堀米と高のパス交換で相手選手が集結。その瞬間に高が鋭い縦パス。相手CBが一気に高木に寄る

②相手CBが動いたことでゴール前が空き、谷口が進入。高木から浮き球のパスを受け、ゴール

  -23日の第11節から5連戦が始まります。注目点は。

 平澤 ボランチです。高選手、島田選手に続く「第三の男」が現状ではいない。連戦で疲れが出たとき、その部分にアクシデントがなければといいなと心配しています。ダブルボランチで行くなら、もう1人欲しいですが…。

 西巻 リキさんの言い方を聞いていると、そのポジションで使いたい選手はいそうだなと感じています。誰が出てくるか楽しみです。それと、連戦ではセットプレーからの得点が大事になる。以前の鹿島のようにというか、調子がよくないなという日でも、セットプレーで点を取れれば勝ち点を取っていく手段が広がります。

 -最後に、今季の「松橋アルビ」への期待を。

 西巻 この10試合の中でもチームにいろいろな変化があり、まだまだ松橋アルビを捉えて切れてないというのが実感です。リキさんのサッカーはこれからどうなっていくのだろうと。土台はあるわけなので、どう進化していくか興味が湧きます。

 平澤さんが言ったように、J2は団子状態で、今年は昇格プレーオフJ2の1、2位は自動昇格。3~6位はトーナメントを戦い、勝ち上がった1チームがJ1の16位と対戦。勝てば昇格する。もある。終盤戦は楽しみであり、記事を書く側としては大変になりそうだという思いです。

 平澤 僕はとにかくゴールが見たいです。リキさんがどんなことを授けて、選手がどう受け止めるか。コンビネーションでも、1人で勝手にプレーしてでもいい。とにかくたくさんのゴールを見て、僕たちメディアの人間も、たくさんの人たちと喜び合いたいです。

=おわり=

◎平澤大輔(ひらさわ・だいすけ)1970年生まれ。東京都出身。93年ベースボール・マガジン社入社。この年の自分の誕生日にJリーグが開幕し、「Jの申し子」を自称する。2004~06年、週刊サッカーマガジン編集長。13年から新潟支社に勤務したことをきっかけにアルビにはまる。新潟日報デジタルプラスにコラム「Orange Soul」を掲載中。

◎西巻賢介(にしまき・けんすけ)1982年生まれ。新潟県三条市出身。2006年新潟日報社入社。サッカー・アルビ担当は08年が最初で、昨季から3回目の担当を務める。J1だった2回目までと違いJ2は日程と移動がハードで、「早く昇格したい」と願っている。