自動運転トラクターによる耕運作業。ハンドル操作に注意を払わなくても、高精度な作業ができる=長岡市寺泊下桐
自動運転トラクターによる耕運作業。ハンドル操作に注意を払わなくても、高精度な作業ができる=長岡市寺泊下桐
農機具店の屋上に設置されたGPS基地局=見附市今町4のカトウAM

 新潟県内の農機具店などでつくる「新潟農業GPSコンソーシアム」は、自動運転トラクターなどの利用に必要な衛星利用測位システム(GPS)の基地局を長岡市、見附市などの5カ所に設置し、今月運用を始めた。基地局を共同で整備し、生産者の初期投資を不要としたのが特徴。農家の高齢化や担い手の減少が進む中、作業の効率化、省力化につながる「スマート農業」を後押しする。

 4月下旬、長岡市寺泊下桐の田んぼ。コメ農家の金子健斗さん(30)が、自動運転トラクターで耕運作業に取りかかった。人工衛星からの電波に加え、見附市に設置されたGPS基地局から補正データを受信。より正確な位置情報を得ることで、コースのずれを直しながら進んでいった。

 金子さんは家族でコメ21ヘクタールを耕作している。「長時間の作業なので、心身の負担軽減になる。経営力の底上げや規模拡大の助けにもなる」。見通しがききにくい夜間の作業が楽になり、肥料の散布も重複ロスがなくせると期待する。

 現場では今、ICT(情報通信技術)を活用した自動運転のトラクターや農業用ドローンといった「スマート農機」が注目される。

 普及に向けて課題となるのが、農機本体のGPS装置だけでは位置情報に誤差が出ることだ。正確に動かすのが難しくなる。GPS基地局の設置が必要とされるが、一般的に1台300万円ほどかかり、費用や手間の負担が大きい。

 コンソーシアムの中心である農機具店「カトウAM」の加藤卓将(たくまさ)さん(36)=見附市今町4=は、生産者が手軽に基地局を利用する方法で打開を図った。北海道のベンチャー企業の協力を得て2年前、試験運用を始めた。

 さらに農業支援サービス「ひとつぶ」(長岡市旭岡1)や農機具店「コーポレーション森」(南魚沼市美佐島)などの企業5社が4月、コンソーシアムを組織し、今月から基地局の共同運営事業を始めた。中小企業が共同で基地局を整備するのは全国的にも珍しいという。

 基地局は各社が専用のアンテナを設置し、長岡市に2カ所、見附、南魚沼、新潟の各市に1カ所ずつ設置した。1台で半径約20キロの範囲をカバーする。村上や佐渡などさらに4カ所増やす計画で、県内では上越地域以外でほぼ利用できる体制を見込む。現在約30人の利用契約がある。

 利用料は月3300円。生産者は使いたい月だけ契約でき、初期費用はかからない。加藤さんは「スマート農業の普及をサポートし、新潟の農業を次世代化したい」と話している。

 問い合わせはコンソーシアム公式サイトの問い合わせフォーム(https://agri-gps.net)から受け付ける。