アルビレックス新潟のJ2第15節東京V戦と、アルビレックス新潟レディースのWEリーグ第20節日テレ東京V戦が8日、デンカビッグスワンで開催される。男女のホームゲーム同日開催は2018年以来、4年ぶり。左足から繰り出されるパスと優れたリーダーシップでチームをけん引するMF島田譲選手、MF上尾野辺めぐみ選手の2人が“2連勝”達成に向け、対談形式でエールを送り合った。

5月8日のダブルヘッダーを前に対談するJ2新潟の島田譲選手(左)と新潟Lの上尾野辺めぐみ選手=聖籠町のアルビレックス新潟クラブハウスレストラン・オレンジカフェ 

-初めて話すというお二人ですが、上尾野辺選手は今季の男子の戦いを見て印象は。

 上尾野辺(以下上) 去年はつなぐというのをすごく感じていた。後ろからつないでゴールへ、だったけれど、今年はそれにプラスして縦に早く、シンプルにという風に感じている。

 島田(以下島) いや、もうまさにその通り。はい。

-逆に島田選手はいかがですか。

 島 すいません、自分たちの試合もあって、まだ女子の試合を見たことがなくて。ただ、シンプルにWEリーグに興味はある。始まる前の感じより、全国的にもそこまで盛り上がっていないのかなっていうのが正直な印象。だから、アルビなら男子と一緒にもっと高め合って盛り上がったらいいなと。

 上 (WEリーグ)1年目は、もうやっぱり結果が全てと改めて感じている。ホームであまり勝っていない。観客数にも反映している、すごく悔しいシーズン。1年目ですごく大事な年だと思うので、男子の皆さんの力を借りて観客を増やしたい。今は千人入れば多い方。チケットの金額の違いなどはあるけれど、なでしこリーグ時代は、2千人くらいは入っていた。やっぱり寂しいなって。

 島 先日、バルセロナ(スペイン)の女子の試合で9万人が入ったと聞いた。それが文化として、サッカーが根付いているっていうことだと思う。男子もそうだが、強いし、人も集まる。男子とか女子とかじゃなく、サッカーがあるところにみんなが集まってくるっていう環境ができればいい。

 対談に臨むJ2新潟の島田譲選手

◆サッカー界を変えるチャンスにも 島田選手

-今は同じ時間帯に練習をしていることもあり、交流が少ない。男女でやってみたいことはありますか。

 島 まずは互いのことを全然知らないので、やっぱり知るところからかな。他のクラブの男女がどういう関わりを持っているかっていうのをちょっと調べたけれど、あまり深く関わっているチームはない。逆に僕らが最初にやれたら、日本のサッカー界を変えるチャンスもできる。せっかく同じ場所で練習し、同じエンブレムを背負って戦っているので、まずはお互いをちゃんと知る機会を設けたい。一緒に活動する時間、場所があれば認知されて、もっと身近に思ってもらえる。例えばSNS(会員制交流サイト)でライブ配信するなどもできる。

 上 まずはみんなで集合写真を撮りたい。他のチームがやっていてうらやましくて。5分あればできる。

 島 それはイージー。やりましょう。

 上 そういえば、島田選手は女子に人気がある。チームメートに対談するって言ったら、めっちゃいいなと。武田選手は「かっこいい」と言っていたし、北川選手も推しだと言っていた。

 島 聞いてなかったなー。でも北川選手は早稲田(大卒)だけど、先輩の僕に全然あいさつに来ない(笑)。

 上 三浦選手も早稲田なので、言っておきます(笑)。

 対談に臨む新潟Lの上尾野辺めぐみ選手

-互いに聞いてみたいことはありますか。

 上 1日のルーティンを聞きたい。

 島 僕はメリハリをつけたいタイプなので、朝トレーニングに行って、準備は1時間くらい。終わって治療がなければすぐに帰って、午後2〜3時からは子供の迎えに行って、子供と遊ぶとか。別にルーティンというほどでも…。

◆環境が整うとうれしい 上尾野辺選手

-プロ化して変わったことは?

 上 仕事をやっていた時と比べると、サッカーに専念する時間は大幅に増えた。体のケアや筋トレに使えるし、自分は休息が、がっつり取れるのはすごく助かる。昔は午後3時くらいまで仕事をして、5時から練習して帰るのが10時過ぎ。そこは大きく違う。

 でもまだまだ男子にはかなわない。なでしこリーグ時代からちょっと上乗せしたぐらいな感じ。例えばエキップメントマネジャー(用具を管理、整備するスタッフ)がいるなど、環境が整うとうれしい。基本的に荷物運びも洗濯も自分たちでやるので。

 島 例えば強豪のINAC神戸などは違う?

 上 エキップはいないと思うけれど、スタッフの数はすごい。広島はエキップ担当もいる。

-二人とも左利きですが、特有の共通点はありますか。

 島 プロになってからは少ないけれど、基本的に右利き向けにつくられている練習が多い。今もサーキットトレーニングからシュートを打つ練習があるが、だいたい右足でシュートを打ちやすいように設定される。クロスも右足で上げるっていうのは小さい時からあった。逆でもやってと、いつも思っていた。

対談するJ2新潟の島田譲選手(右)と新潟Lの上尾野辺めぐみ選手 

 上 ははは。それはあったかも。どうしても右で蹴らなくてはいけないみたいな。

 島 少数派なので、しょうがない。

 上 右足、蹴れます?

 島 いや、蹴れない。

 上 良かった。いつもチームで左利きの選手で右足の争いしている。自分はいつも最下位。本当に蹴れなくて、おもちゃ。

 島 右足の練習はあまりしなかったな。そういう指導者に巡り会ったらしていたかもしれないけれど、僕は左足をいかに生かすかっていう風に教えられてきた。だからそもそも右足で蹴るところにボールを置かない。

 上 それは分かる。

 島 だから余計に蹴らなくなる。これは左利きあるある。右利きは左にも置く。だから左で蹴るけど、僕らはそもそも右に…

 島、上 置かない!

対談する新潟Lの上尾野辺めぐみ選手(左) とJ2新潟の島田譲選手

-上尾野辺選手は新潟生活が16年になりました。

 島 すごい。300試合出場も。

 上 新潟の良いところは、食事がおいしいというのが一番。自然も豊かで、犬を飼っているので、公園が広いから過ごしやすい。

 島 新潟は今の時期くらいからすごくいい。冬は本当につらいけれど、だから晴れがうれしい。朝晴れていたらうれしい。当たり前に感謝みたいな。

 上 最初、冬は衝撃的だった。多分雪が結構降っている年だったので、膝くらいの高さのところで普通にボール蹴っていた。来たところ間違えたかもって思った。

◆男子も女子も2、3万人が入る未来を 島田選手

-新潟のサッカー文化についてどう感じていますか。

 島 移籍して一番に思ったのは、アルビレックスがすごく地域に根付いている。認知度も高く、サポーターが多いっていうのがそれを表している。でも新型ウイルスなどもあって、一番いい時に比べたら観客数は減っている。それを大きくしていこうと思ったらバルセロナじゃないけれど、当たり前に男子も女子も2、3万人が入る未来を描くべきだ。今でもJ2トップクラスの集客力はあるので、もっと上を目指してやれるという思いがある。

2022年4月、ホームの岩手戦でボールを運ぶ島田選手(右)

 上 男子は地域密着が本当にすごいと感じる。その中で島田選手が言った通り、男女関係なくという風になってほしい。サポーターの方も男子と女子で別々になっている部分もあるかと思う。そうではなく、「きょうは女子があるから女子に行こう」という風になってほしいと、16年いてずっと思っている。

 女子も2011年のワールドカップ後は、男女同日開催すると1万人近くは見に来てくださった。そこは本当に目指せると思う。もっとレディースも話題ができればいい。試合に勝つ、上位にいけば、もっと見に来てくれる方いると思う。それも含めて結果が全て。

◆楽しかったと思ってもらえる日に 上尾野辺選手

-8日の試合へ向け、互いにエールをお願いします。

 島 5連戦の最終試合だし、ゴールデンウイークなのでたくさんの方が来てくれると思う。なんとしても勝ちたい。勝敗はもちろんだが、男女同日開催を多くの人に知ってもらいたい。レディースの試合も見てもらい、男女の違いが分かるとか、女子の方がここは面白いとかがあるかもしれない。僕もチャンスがあったら見たい。勝って終わった後、みんなで応援したい。

 上 レディースも過密日程で、なおかつ強豪相手。すごく厳しい戦いにはなるけれど、同日開催で女子サッカーを知ってもらうためにもいい機会。勝利を目指して戦いたい。男子が先なので、女子のキックオフまでいかに観客を帰らせないかが大事。たくさんの方が女子サッカーを見て楽しかったと思えるような日にしたい。

 2022年3月、大宮戦の後半、左サイドを攻め上がる上尾野辺選手(右)

◎島田譲(しまだ・ゆずる)1990年生まれ、茨城県出身。2020年に新潟に加入し、昨季完全移籍。危機察知能力の高いボランチ。社会貢献活動も行う。

◎上尾野辺めぐみ(かみおのべ・めぐみ)1986年生まれ、神奈川県出身。2006年に新潟L加入し、17年にチーム初のプロ契約を結んだ。日本代表は34試合出場。