会場の中は見る人を泣かせるような懐かしい写真で溢(あふ)れていた。義理も人情もある古き良き時代の農村風景と、そこに暮らしていた人たちが写っているのだ。しかし、今はそのほとんどが失われたものになってしまった。

 これを撮っていた1970年代前半の橋本照嵩(しょうこう)は、広角レンズで超クローズアップの達人と言われていた。そのせいか、写された人物たちは本当に目の前にいる気がするほどの艶っぽい皮膚感と、…

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