飼い犬を通じて交流を楽しむ人々=新潟市中央区の県スポーツ公園
飼い犬を通じて交流を楽しむ人々=新潟市中央区の県スポーツ公園

 近年、ペットと飼い主の関係性に変化が起きています。「ペットは家族の一員」という意識が高まり、飼育にお金や手間をかける家庭が増える一方、ペットの高齢化が進み、介護や医療費などに悩む人も増えているようです。動物と人が幸せに暮らしていくには何が必要か。新潟でペットを飼う人たちと共に考えます。

 「かわいいですね、何歳ですか」「うちの子は元気がありすぎて困ってます」-。さまざまな種類の犬を連れた人々が楽しげに会話を弾ませる。広大な芝生が広がる新潟県スポーツ公園(新潟市中央区)は、愛犬家たちの社交場だ。かわいらしい服を着て、乳母車のようなペットカートに乗る犬の姿からは飼い主の愛情が伝わってくる。

 「この子がいると、知らない人とも自然と仲良くなれる」。園内を散歩する新潟市中央区の女性は、大きな瞳で見上げる小型犬の「鈴(りん)ちゃん」をいとおしそうに見つめる。鈴ちゃんは、キャバリアとチワワのミックス犬で推定10歳。3年前、インターネットで保護犬として紹介されているのを見つけて譲り受けた。

芝生の広場に集まった飼い犬

 アレルギーのある鈴ちゃんは、動物病院が取り扱う特定のドッグフードしか食べられず、目には病気があり目薬が欠かせない。トリミングやシャンプーなどの美容代やワクチン代、ペット保険代も含めると月の出費は2万円前後になる。決して安くはないが、女性は「子どもがいない私たち夫婦にとって鈴は子ども同然。近くに住む父母と大人4人で目いっぱい愛情をかけています」。

 鈴ちゃんは家族の中で大切な存在となっている。

▽犬と猫の数、子ども上回る

 ひと昔前は、防犯やネズミ駆除のために飼われることも多かった犬や猫などのペット。しかし現在は、世帯人数の減少や動物愛護の意識の高まりで、純粋に愛情を注ぐ存在として迎え入れる家庭が大半を占める。

 一般社団法人ペットフード協会(東京)によると、2021年の犬猫の飼育総数は約1605万匹で、15歳未満の子どもの数(21年4月時点で約1491万人)を上回る。犬に限ると、犬小屋で飼う人が減り室内飼育が増えるなど飼い方も変化している。

 その影響は、事情があり一時的に自治体などに保護される「保護犬」の数にも表れているようだ。

 新潟県動物愛護センターによると、新潟市を含む県内の行政施設で保護された犬の収容総数は、11年度の711頭から20年度は222頭まで減少。その影響で殺処分頭数も80頭(11年度)から8頭(20年度)と、10年間で10分の1にまで減った。

 

 獣医師の遠山潤センター長は「室内飼育の一般化で犬が逃げにくくなり、野犬も減少したことなどが要因ではないか」と話す。今でも迷子の犬が保護されることはあるが、飼い主も必死で探すためすぐに連絡がつき、1〜2日で返還されることがほとんどだという。

 猫も、飼い猫が繁殖しすぎて世話できなくなる「多頭飼育崩壊」の件数が減らないことが課題であるものの、終生飼育や不妊・去勢手術が浸透し、野良猫が少なくなったことなどから、保護猫全体の数は減少している。遠山センター長は「飼い主のマナー向上が保護犬や保護猫の減少につながっている」と喜ぶ。

▽新たな課題

 一方、適切な飼育方法の浸透や医療の進歩に伴い、ペットの高齢化が新たな課題となっている。ペットフード協会が21年に行った調査によると、飼育されている犬の平均寿命は14・65歳、猫は15・66歳と、ここ10年で最長となった。それに伴い、長引く介護や重い医療費に頭を悩ませる飼い主は多い。

 

 ペットと自分の年齢を照らし合わせ、いつまで世話ができるのかと不安を抱える人もいる。鈴ちゃんを飼う女性は現在50代。「本当はもう1匹飼いたいけれど、犬は長く生きるので…」とため息をつく。

 ペットショップで売っている子犬ではなく、成犬の鈴ちゃんを選んだのも自身の年齢を考えてのことだった。

 「これからは飼い犬の老いに関する悩みを持つ人がもっとたくさん出てくるはず。思い悩んで手放すのを防ぐためにも、気軽に相談できる場があればいいなと思う」と語った。

(報道部・五十嵐南美)

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