約半年間の産休を取得した西東コーチ。復帰後はピッチで選手たちの指導にあたった=聖籠町
約半年間の産休を取得した西東コーチ。復帰後はピッチで選手たちの指導にあたった=聖籠町

 女子サッカーを通じ、夢や生き方の多様性にあふれ、一人一人が輝く社会の実現に貢献するという理念の下に始まったWEリーグ。女性活躍社会のけん引を目指すとともに、女性プロスポーツを根付かせることに踏み出した1年目が終わった。アルビレックス新潟レディースの目線から、新たなリーグの成果や課題を探った。

 リーグ戦終盤の5月、新潟Lの選手たちが練習に励むピッチにはロングボールを蹴り、マスク越しからアドバイスを送る西東友里コーチの姿があった。昨年11月6日に長男を出産。約半年間の産休から復帰し、子育てと両立しながら「チームの勝利のために」と奮闘していた。

 茨城県出身の西東コーチは新潟L一筋で9年間プレー。2016年の引退後は下部組織で指導者を務め、WEリーグに参入するタイミングで新潟Lのコーチに就任した。

 妊娠が分かったのは、チーム始動後の昨年2月。「最初は言いにくかった。体を動かす仕事なのでチームに迷惑をかけると思った」。それでもクラブに告げると受け入れてくれ、コーチの継続も決まった。「他に例がなかったから不安だった。ほっとした」と振り返る。

 WEリーグ開幕前、日本協会が「女子プロサッカー選手の規則」を制定し、選手は産休取得が可能になった。ただ、コーチングスタッフらには明確な規定はない。そこで選手規則に基づき、クラブと話し合いながら独自の規定をつくった。

 「人生の多くをサッカーに懸け、この仕事を選んだ。子どもが生まれたから諦めると、子どものせいにしているみたい」。1年間の産前産後休業が可能だったものの、出産前に計画した通りに4月に復帰。生後5カ月の子どもを保育園に預けることへの批判的な意見も耳にした。ただ、「やりたい仕事と子育てを両立している姿を子どもに見せたい」と気持ちはぶれなかった。

 リーグによると、チームスタッフの産休取得は初。現役選手としてシーズン中に出産、復帰した元日本代表FW大滝麻未(千葉)と同様に、女性活躍社会の象徴を目指すリーグの好事例となった。

 一方で、産休中はチームから離れることへの焦りがあった。復帰後も「雰囲気を壊したくない」とチームに途中合流する難しさや、周囲にどう受け止められているかにも悩んだ。「(一般の)会社でも同じだと思う」と強調する。

 元選手、女性指導者という経歴を生かし、監督就任が将来の目標だ。子育てしながらのキャリアアップは時間との闘いでもあるが、来季も両方に全力を注ぐ。「このクラブが好きだし、大事にされてきた。だからこそ教えられるものを選手たちに伝えたい」

現役時代の公式戦でゴールを決める西東コーチ(右手前)=2016年10月29日、新発田市