新型コロナウイルスのワクチン接種を職場や団体単位で行う「職域接種」が21日に始まるのを前に、新潟県内の企業・団体からも国への申請が相次いでいる。県のまとめでは、10日時点で国への申請があったのは大学などを含め31団体・約11万人に上る。接種の加速が期待される一方で、県内で多くを占める中小企業からは、対象人数などの要件や打ち手の自力確保など「ハードルが高い」と、共同実施を求める声も上がる。

 NSGグループ(新潟市中央区)は、傘下の大学や専門学校などの学生や教職員約1万5千人を対象に今月下旬から順次ワクチン接種を行う予定だ。7月には亀田製菓(同江南区)、第四北越フィナンシャルグループ(FG)の第四北越銀行(同中央区)、車載計器製造の日本精機(長岡市)、新潟放送(新潟市中央区)なども開始を見込んでいる=表参照=。

 亀田製菓は、本社・グループ社員ら2500人分を申請し、7月3日にも接種を始めたい考えだ。来週から対象の従業員にアンケートを実施し、希望者を募る。同社は「生産ラインを動かしつつ接種を進められるようバランスを考えながらスケジュールを組んでいく」と強調する。

 従業員ら3500人を対象とする日本精機は、接種会場に社内の体育館や研修室などを想定。第四北越FGは、グループ企業の職員を対象に行内の診療所などで実施する。新潟放送は、テレビ放送に携わるスタッフから優先して接種を始める見通しだ。

 11日時点で申請には至っていないが、ほかにスーパーなどを展開するアクシアルリテイリング(長岡市)、トップカルチャー(新潟市西区)、ブルボン(柏崎市)も職域接種に取り組む方向で検討している。

 一方、職域接種に前向きながら、対象人数などの要件が満たせず申請を見合わせる企業もある。

 暖房器具製造のダイニチ工業(新潟市南区)は、県内在住の従業員が500人未満だ。例年インフルエンザの予防接種を行っているため、ノウハウを生かして職域接種に取り組もうとした。だが、家族らを含めても国が対象人数の基準とする「1千人」を確保できず、同社広報室は「要件が下がらないと、申請したくてもできない」と漏らす。

 県内建設最大手の福田組(同中央区)はグループを含め1千人以上の従業員を抱えるが、打ち手の確保の問題から実施は難しいという。自治体による接種が進んでいることなどを念頭に「社内に医師がおらず、限られた医療従事者の奪い合いは避けたい」と吐露する。

 新潟市に本社がある運送業者は、拠点が全国に分散している点をネックに挙げ「1会場に従業員を集めるのは至難の業。職域接種をやろうと考えたが、現実的にはできない」と語る。

 自営業者や中小企業は単独での実施が難しく、複数が集まっての共同実施も想定されている。

 経済団体がとりまとめ役の名に挙がっているため、約4600の会員が加盟する新潟商工会議所(同中央区)には会員から「商議所でやってもらえそうか」との問い合わせや要望が、連日4、5件寄せられているという。

 ただ、接種実施に伴う費用や責任問題など課題は多く、井上達也事務局長は「市の意向も確認しながら検討を進めている段階。切り捨てにならないよう、非会員企業の対応も含め慎重に考えたい」と説明する。