「新潟県を元気にしたい」提言

【地域部門】優秀賞「新潟日報賞」
『走って新潟活性化 「ニイガタrun GO!」』

山田史織 明治大学第3学年

 2017年10月9日、晴天の中開催された新潟シティマラソン。普段は車で通りすぎる街、海岸線を、風を感じながら走るのは、本当に気持ちの良い瞬間だった。長い42.195㎞の道のりを走り切ったあと、ランナーに対して振舞われた餅が、疲れた身体に染みわたっていく感覚は忘れない。大会当日の夕方、新潟駅の日本酒のみ比べコーナーが多くのマラソン参加者でにぎわう光景も印象的であった。

 私が大会に出て感じたことは、マラソン大会が、ランナーが走るというためだけのイベントではなく、様々な可能性を秘めており、地域活性化につながることだ。私は、アイデアを「ニイガタrun GO!」と題し、マラソンを通じた地域活性と、運動習慣の向上の2つに焦点をあて、新潟を元気にするための提言をする。

 私が考える活気があって暮らしやすい地域は、①老若男女問わず住民が健康的・活動的なこと、②地域で開催されるイベントに、地域内外からたくさんの人が集まること、である。

 まず、①の現状として、平成27年度県民健康・栄養実態調査によれば、運動習慣を持つ人の割合は、20~64歳男性で26.4%、女性は19.4%である。過去の数値よりも向上しているとはいえ、運動習慣を持つ人が3割にも満たないという現状だ。私たちにとって一番身近で簡単に行える運動といえば、ウォーキングやジョギングがあげられる。運動習慣を持つ人の割合を増やすには、簡単な運動を誰もが楽しく習慣化できる環境を整える必要があると思う。

 ②の地域イベントに関しては、平成28年に新潟県が掲げている、「新潟県スポーツ推進プラン」の一部に記載されている内容をヒントに、スポーツイベントの開催を通じて、スポーツ振興と地域活性の好循環を図ることが理想的であると考える。

 これら2つを踏まえて私が提案するのは、ランニングサポートアプリ「ニイガタrun GO!」の開発と、アプリと連携したランニングスポットの設置だ。アプリは、規定のスポットで運動を行うとポイントが貯まるというもの。スポットは、県内各地の公園や運動施設などが対象で、アプリと連動したQRコードを各スポットに取り付け、スマートフォンで読み取るとポイントが貯まるシステムだ。ランニングスポットはあらゆる地域に存在し、新たなスポットを開拓すれば、ボーナスポイントが加算されるというような利点を設け、ゲーム感覚で運動を楽しむことができる。

 全国の中でも面積が広く、自然豊かな新潟県内は、気持ちよく運動できる環境がたくさんある。ランニングスポットの設置で、お気に入りのランニングコースを見つけ、走る習慣がより楽しくなるのはもちろん、行ったことのない地域へ行き、県内の魅力を再発見するきっかけになることが期待できるのではないかと思う。

 私は現在、都内のフィットネスクラブでアルバイトをしており、最近20~30代の女性が仕事帰りにトレーニングに励み、汗を流す姿をよく見かける。話を聞くと、多くの人がトレーニングサポートアプリを使っており、運動習慣を快適に、楽しく身に着けるには、アプリが大きな存在になることを実感している。

 「ニイガタrun GO!」を、地域活性に活かすにはどうしたらよいか。私は、様々なマラソン大会を検索していく中で、新潟県内で開催されるマラソン大会の多さに驚いた。冬季の一時期を除いて、一年間ほぼ毎週どこかでマラソン大会が開催されている。距離は様々、ロードレースはもちろん、トレイルランもある。私は、地元長岡市三島地域の「みしま西山連峰登山マラソン大会」に、大学生になってから参加している。この大会は、急な坂道を駆け上るという過酷な、非常に個性的な大会だ。参加賞は、地元名産品の詰め合わせで、走ったあとはおにぎりや温かい豚汁が振舞われる。大会に出るたびに、地元の方々の温かさを感じる。

 こういった大会が、県内のあらゆる場所で開催されており、マラソン大会はまさに、地域の魅力をアピールする絶好の機会だ。大会に参加する人が増えれば、より盛り上がり、地域活性につながるはず。例えば、アプリとの連携大会に参加すればポイントゲットや、アプリで貯めたポイントで、特産品ブースで買い物ができるなど、アプリと各大会を連携させられれば、参加者アップが見込めるのではないかと思う。

 マラソンによって地域が盛り上がるのは、大会当日だけかもしれないが、多くのランナーがその街を走り、地域の名産品を味わった感想、感じた魅力が、SNSや口コミで広まっていけば、それが地域活性につながる時代になった。アプリやSNSと地域活性をどのようにコラボレーションさせていくかが重要であると思う。

 「ニイガタ run GO!」で1番期待できるのは、特に20~30代の、運動習慣を持つ人の割合が低いといわれている世代が、無理なく楽しく運動を始めるきっかけになることだ。

 「100歳時代」といわれる現在、健康寿命を伸ばすために、よりよい生活習慣を身に着けることが盛んに推奨されている。運動習慣もその一つだが、高齢になってから運動習慣をつけるのでは遅く、若い頃からの習慣が、将来の健康に関わってくる。地域活性化に関しても若い世代を取り込むことは重要で、アプリを通じてマラソン大会への参加者が増え、若い世代がもっと地域イベントに関わることができれば理想的だ。

 地域で開催されるマラソンは、国際大会のような大きな大会とは違って、運営する人々、応援、走るランナーなど、関わる全ての人で作り上げられると感じる。大会時に限らず、新潟の四季折々、様々な景色の中をたくさんの人が走っている、そんな活発な毎日が日常になったら、県民の身体も、新潟の未来も変わってくるはずだ。