過去の衆院選

衆院選2017

戦いの歩み

【2017/10/23】

 全域的に「自民対野党共闘」の構図となった本県では、与野党双方の候補が最終盤まで大接戦を繰り広げた。県内6小選挙区それぞれの戦いの跡をまとめた。(敬称略)

新潟第1区
西村 終盤幅広く浸透

 初めて「オール野党態勢」で臨んだ立憲民主前職・西村智奈美(50)が自民前職・石崎徹(33)に1万5千票の差を付け、過去、小選挙区で2連敗した雪辱を果たした。

 西村は連合新潟を中心にした戦いで、野党系の県議、市議も動いた。立正佼成会や市民連合@新潟なども連動し、支持を拡大。前回離された新潟市中央区で逆転したほか、西、東区でも上回った。安倍政権への批判票の取り込みに力を入れ、終盤、立民代表・枝野幸男の来援で弾みがついた。子育て経験をアピールしつつ社会保障の充実などを訴え、幅広く浸透した。

 石崎は前回選挙後に整備してきた後援会による選対を県議、市議が支える態勢で支持拡大を狙った。若さと与党としての実行力もアピールし、人口減対策、拠点性向上などを訴えたが、及ばなかった。石崎は比例で復活当選した。

衆院選2017・1区の市町村別獲得票数
新潟第2区
鷲尾 3度目で初勝利

 前回、全国最少の102票差で敗れた民進系の無所属前職・鷲尾英一郎(40)が、自民前職・細田健一(53)に約1万6千票差をつけ、3度目の対決を初めて制した。

 鷲尾は連日のミニ集会などで安倍政権の農業政策を批判し、知事・米山隆一を支える「県政与党」の立場を強調。農家など従来の支持者に加え、社民支持層を取り込んだ。大票田では地盤とする燕市で得票を伸ばし、過去の選挙で細田の得票を下回った柏崎市で逆転。佐渡市では細田との票差を詰めた。

 細田は過去の選挙と同様に自民県議、市町村議と連携。土地改良事業予算の拡充など政権与党での実績をアピールしたが、個人後援会の整備が遅れ、いまひとつ広がりを欠いた。細田は比例復活した。

 共産新人・五十嵐健彦(37)は東京電力柏崎刈羽原発の再稼働反対などを訴えたが浸透しなかった。

衆院選2017・2区の市町村別獲得票数
新潟第3区
黒岩 大票田で票稼ぐ

 激しいデッドヒートの末、民進系の無所属前職・黒岩宇洋(51)が自民前職の斎藤洋明(40)をわずか50票差で制した。

 黒岩は「野党統一候補」として、公認候補の擁立を取り下げた共産、社民、自由各党、連合新潟の支援を受けた。街頭や集会で反アベノミクスや改憲阻止を徹底して訴え、反自民勢力の広範な結集に成功。各地の支援者が草の根で支持を広げ、新潟市北区や大票田の地元・新発田市で票を稼ぎ、斎藤を振り切った。

 斎藤は前回選後から個人後援会や事務所の態勢などを増強。自民県議や首長、業界団体などと組織戦を展開したが、支持を広げきれなかった。農家の所得向上を一貫して訴え、全域で票を積み増したが、あと一歩届かなかった。斎藤は比例代表で復活した。

 無所属新人の三村誉一(71)は反安倍政権を訴えたが、浸透しなかった。

衆院選2017・3区の市町村別獲得票数
新潟第4区
菊田 政権と対峙鮮明

 民進系の無所属前職・菊田真紀子(47)が自民前職・金子恵美(39)を約2万5千票差で下し、2009年以来となる小選挙区の議席を取り戻した。

 初めて無所属で戦った菊田は、安倍政権と対峙(たいじ)する姿勢を鮮明にし、前回競り負けた大票田の三条市や新潟市でも大きく上回った。従来の後援会や連合新潟、立正佼成会に加え、共産など各野党も幅広く支援。旧市町村ごとに集会を開いて結束を強め、演説では政権批判や原発ゼロを徹底して訴えた。後半は街宣活動に力を入れ、支持を広げた。

 金子は所属する二階派の支援を受けて組織ぐるみの選挙戦を展開したが、支持を固めきれなかった。過去に選対の中枢を担ってきた県議が距離を置き、今回は地元の市町議や後援会が選対の中心。地域をきめ細かく回り、実績を強調したが、広がりを欠いた。

衆院選2017・4区の市町村別獲得票数

※新潟江南4区には新潟北区4区を含む

新潟第5区
泉田 知名度で上回る

 元知事の自民新人・泉田裕彦(55)が自民、公明支持層を固め、元魚沼市長の無所属新人・大平悦子(61)の追い上げをかわし、1万2千票差で初当選を果たした。

 補選から一転、総選挙に統合された。泉田は8月に死去した元衆院議員の「後継」を強調。党内には候補選考などでしこりが残っていたが、終盤は「自公議席維持」を訴え、一定程度締まった。3期12年間知事を務めた知名度を武器に、長岡市域では重鎮県議や長岡市議らが組織戦を展開。知事時代から縁のある商工会をてこに魚沼エリアにも浸透した。

 野党統一候補の大平は「原発ゼロ」「安倍政権ノー」を掲げ、政権批判層に支持を呼び掛けた。ただ出馬表明が遅く、最重視した原発問題の争点化も徹底できないまま、最後まで知名度不足を克服できなかった。

 幸福実現党員で諸派新人の笠原麗香(25)は、支持を広げられなかった。

衆院選2017・5区の市町村別獲得票数
新潟第6区
高鳥 2000票差競り勝つ

 自民前職・高鳥修一(57)が糸魚川市などで優位に戦いを進め、2千票余りの差で民進系の無所属新人・梅谷守(43)との再度の戦いに競り勝った。梅谷は、市長選とのダブル選となった大票田・上越市で高鳥を約7500票上回るなど追い上げたが、及ばなかった。

 高鳥は、5市町に張り巡らせた後援会と自民支部による組織戦で臨んだ。党部会長などを務めた厚生労働分野の実績のほか、糸魚川大火の復旧に与党として尽力したことをアピール。糸魚川では梅谷に6300票以上の差を付け、小選挙区の勝利につなげた。

 梅谷は「野党統一」を掲げ、共産、社民、自由の各党と安保法制廃止などを訴える市民グループの支援を得たが、民進党の混乱による出遅れが響いた。県議2期を務めた上越市では高鳥を引き離したが、他の地域で知名度不足を埋められなかった。

衆院選2017・6区の市町村別獲得票数

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