過去の衆院選

衆院選2021

戦いの概略

 衆院選の県内6小選挙区では、2区を除き、全ての選挙区で自民党候補と野党共闘候補による激戦が展開された。各選挙区の戦いの跡をまとめた。(候補者は敬称略)

新潟第1区
西村 大差で議席守る

 野党統一候補で立憲民主前職の西村智奈美(54)が、前参院議員で自民新人の塚田一郎(57)に3万票以上の差を付け、議席を守った。

 西村は連合新潟や党の県議、市議らでつくる選対を中心に戦い、共産党や社民党などの各県組織が側面支援した。

 1区に多いとされる無党派層を取り込むため、街頭演説を1日40カ所ほどで行い、福祉、保育などの分野での待遇改善を訴えた。地元の西区のほか、中央区や東区など1区内の全行政区で幅広い支持を得た。

 塚田は参院議員時代からの支援者が中心となり、県議や市議が脇を固めた。知事との距離の近さをアピールし、政策実行力を強調したが及ばなかった。塚田は比例代表で復活した。

 日本維新の会元職の石崎徹(37)は、元秘書への暴行問題の影響などで支持に広がりを欠いた。

衆院選2021・新潟1区の市町村別獲得票数
新潟第2区
細田 新人寄せ付けず

 候補を一本化した自民の前職細田健一(57)が盤石の体制で2014年以来となる小選挙区での勝利を決めた。国民民主の高倉栄(50)と共産の平あや子(41)の両新人を寄せ付けなかった。

 前回比例復活だった細田は個人後援会を整え、企業との連携も強化してきた。地方議員と組織戦を展開。全市町村で他の2人の得票を上回った。

 前回、野党系無所属で当選後、自民入りして細田と公認争いをした鷲尾英一郎の支援も受けた。鷲尾の支持者も一部取り込み、2万票以上を上積みした。

 分裂選挙の野党は苦戦。連合新潟が推薦した高倉は県議時代の地盤の燕市や弥彦村で一定の支持を集めたが、浸透しきれなかった。

 社民などの支援も受けた平は脱原発を訴え、前回の共産候補の約3倍の票を集めたものの、細田との差は大きかった。

衆院選2021・新潟2区の市町村別獲得票数
新潟第3区
斎藤 1万4000票差勝利

 自民前職の斎藤洋明(44)が立憲民主前職の黒岩宇洋(55)を約1万4000票差で振り切り、全国最少の50票差で敗れた前回選挙の雪辱を果たした。

 斎藤は前回選から事務所体制や後援会組織を増強。県議らと各地を練り歩いて支持固めを図り、首長からも手厚い支援を受けて政権与党の国会議員の重要性を強調した。地元の村上市で大差を付けたほか、前回相手に上回られた新発田市でも逆転。官僚を辞めた妻との二人三脚の姿勢をアピールしたことも奏功した。

 野党統一候補の黒岩は共産、社民、連合新潟などの支援を受け、政権批判の姿勢を前面に出して戦った。農業者戸別所得補償制度の復活や金融所得課税の強化を掲げて格差是正を訴えたが、前回選で制した新発田市や五泉市を落とした。後援会の高齢化などもあり、活動量で斎藤に及ばなかった。

衆院選2021・新潟3区の市町村別獲得票数
新潟第4区
菊田 大接戦をものに

 野党統一候補として臨んだ立憲民主前職の菊田真紀子(52)が、前三条市長で自民新人の国定勇人(49)との激戦を238票差で制し、小選挙区の議席を守った。

 菊田は地区ごとに張り巡らされた強固な後援会組織と連合新潟を軸に、共産党の側面支援を得て野党支持層を固めた。子育て・教育支援の拡充を強調し、無党派層の取り込みを狙った。

 終盤は党幹部の来援を受け、有権者が多い都市部での街宣に注力してきた。三条市では苦戦したが、新潟市秋葉区をはじめ、見附市などでリード。大接戦をものにした。

 国定は保守系地方議員や商工関係者の全面的な支援を受けて組織戦を展開したが、及ばなかった。4期14年、市長を務め、抜群の知名度がある三条市で菊田に大差を付けたが、他地域を落としたことが響いた。国定は比例代表で復活した。

衆院選2021・新潟4区の市町村別獲得票数

※新潟江南4区には新潟北区4区を含む

新潟第5区
米山 全5市町で首位

 前知事で無所属新人の米山隆一(54)が全5市町でトップとなり、元知事で自民前職の泉田裕彦(59)、前長岡市長で無所属新人の森民夫(72)との首長経験者による三つどもえ戦に快勝した。

 事実上の野党統一候補の米山は、立民、共産、社民各党が支援し、序盤から先行。アベノミクスを指弾し、自公政権への批判票をまとめた。作家で妻の室井佑月さんの支えも注目を集め、広く浸透。大票田の長岡市で泉田に1万票以上の差をつけた。

 泉田は保守地盤の南魚沼市や湯沢町でも遅れを取った。自民推薦で知事選に出馬経験のある森の出馬で保守層も分裂。元知事の知名度で無党派層への浸透を図ったが、及ばなかった。泉田は比例代表で復活した。

 森は、5区選出の故長島忠美元衆院議員の後継を掲げたが、市長を務めた長岡市以外で広がりを欠いた。

衆院選2021・新潟5区の市町村別獲得票数
新潟第6区
梅谷 130票差で初当選

 野党統一候補の立憲民主新人、梅谷守(47)が大票田の上越市で得票を伸ばし、5選を目指した自民県連会長の前職高鳥修一(61)との激戦を130票差で制した。6区では、2009年の政権交代選挙以来、12年ぶりの野党候補勝利となった。

 3度目の挑戦となった梅谷は進退をかけた「背水の陣」で臨んだ。共闘した野党各党の支持を固めた上、政権交代を訴えて無党派層に浸透。保守地盤の厚い十日町市でも健闘し、野党勢力の強い上越市で高鳥を離し、初当選を引き寄せた。

 高鳥は地方議員や企業後援会をフル動員し、全域で分厚い組織戦を展開した。公共事業誘致など政権与党の実績を強調して糸魚川市などで票を積んだが、安倍晋三元首相ら大物が続々と来援した上越市で前回同様、大差をつけられた。

 無所属新人の神鳥古賛(53)は浸透しなかった。

衆院選2021・新潟6区の市町村別獲得票数

≪ 衆院選2021 トップへ