輝く熟練技の結晶 佐渡市高瀬
2024/12/23
佐渡市西部の景勝地「夫婦(めおと)岩」には冬の日本海の荒波が打ちつけていた。その前にぽつんと立つ「塩工房 佐渡風塩釜(かざしおがま)」は目の前の海水を原料に、昔ながらの製法で天然塩「佐渡の塩」を作る。ろ過を繰り返すことで生まれる卯(う)の花色は職人の手仕事の結晶だ。
職人の杉山雅志さん(66)が自ら割ったまきをくべ、釜で海水を煮詰める。ポイントは「どれだけ不純物を取り除けるか」。ひしゃくで水をすくい、きめ細かい布で何度もこすことで、さらさらとした真っ白な塩になる。
夏は室内が40度を超える一方、冬は煙突から流れ込む強風で火加減が難しい。厳しい気象と「格闘」し、2日がかりで1㌧の水を約8㌔の塩に凝縮させる。
新潟県史によると、佐渡は古代から製塩が盛んだった。風塩釜は隣地でドライブインを営む「めおと岩観光」が20年ほど前、新たな観光資源にしようと始めた。
社長の佐々木英之さん(77)は夫婦岩周辺を「寒流と暖流がぶつかり、サザエやアワビが豊富な場所」と解説する。ここの海水は独特の甘みを持つ塩に仕上がり、県内の旅館や都内のすし店でも重宝されている。
おにぎりや野菜炒め、ゆで卵などの味を引き立てる名脇役。日本海の恵みが熟練の技できらりと輝く。(写真映像部・新井田悠)
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<塩工房 佐渡風塩釜> 細かい粒で万能タイプの「佐渡の塩」(200㌘650円)を含め、3種類の塩を製造する。新潟、長岡、越後湯沢のJR各駅の「ぽんしゅ館」などで販売している。工房見学も可能。問い合わせはめおと岩観光、0259(76)2511。
【写真】 地元の海水のみで作った「佐渡の塩」。ろ過を繰り返すことでこだわりの白さに仕上がる=佐渡市高瀬

