第2弾 魚沼

魚沼路 御利益求め

神社仏閣 御朱印巡り

魚沼の名所紹介

新潟日報 2019/09/04

 魚沼地域には由緒ある神社仏閣がたくさんあり、歴史に触れたり、貴重な文化財を見たりすることができる。また近年はブームといわれる御朱印を求め、参拝する若者や女性の姿を見かける。魚沼各地の神社仏閣を訪ね、御朱印を集めてみた。県内でも数少ない女性宮司は、御朱印を一枚一枚心を込めて丁寧に書く。南魚沼市では地域活性化につなげようと、自転車でお寺や神社を回り、御朱印を集めるイベントが開かれていた。魚沼5市町の魅力を発信するプロジェクト「未来のチカラ in 魚沼」がさまざまな寺社仏閣を紹介する。さあ魚沼へお参りに出掛けよう。(長岡支社・石田篤志)

神社仏閣御朱印巡り

八海神社(南魚沼市)

女性宮司・村山みね子さん
感謝の気持ち込め丁寧に

「参拝への感謝と、書かせてもらってありがたいという気持ちで日々、向き合っています」。南魚沼市の八海神社では、宮司の村山みね子さん(56)が一枚一枚、心を込めて筆を走らせ、御朱印を書いている。県内でも数少ない女性の宮司だ。

 御朱印ブームといわれる近年。若い人や女性の姿が目立つという。かつては団体の参拝が主流だったが、いまは少人数での参拝が多い。「参拝のマナーを守ってくれて、きちんと手順を踏んでから参拝の証しに御朱印を求めてくる。こちらも丁寧に書かねばという気持ちにさせられます」と語る。

「心を込めて御朱印を書くよう心がけています」と語る宮司の村山みね子さん=南魚沼市の八海神社

 日々の祈祷きとうやおはらいで手いっぱいの時もあるが、御朱印は事前に書き置きするのではなく、できるだけ、依頼された時に書くように心掛けている。

 10年ほど前、八海神社28代目宮司だった父親が急逝し、後を継いだ。子授け祈願、安産祈願と節目節目に参拝してくれた夫婦が、成長した子供を連れて七五三のお祝いでまた訪ねて来てくれる。そんな姿に接すると、宮司としてのやりがいや喜びを強く感じる。

 「人生の節目節目で人との縁を感じることができるのが宮司。その役目に誇りを持ちながら、御朱印を書いています」と村山さんは目を細めた。

 御朱印は1枚300円。

住所/南魚沼市山口493
問い合わせ/025-775-2693

永林寺(魚沼市)

人と寺つなぐ縁 大切に

 永林寺(魚沼市)の本堂に入ると、幕末の彫刻師、石川雲蝶の作品が参拝者を出迎えてくれる。有名な「天女の透かし彫り」などが欄間を飾る。その豊かな表情や鮮やかな色彩が人々を魅了する。

 越後高田藩主の松平光長公らの位牌いはいを安置。あおいの紋を掲げることを許された、由緒ある寺としても知られる。

 ここも最近は御朱印を求めて参拝する人が多い。副住職の佐藤公彦さん(45)は「本来、御朱印は写経を納めた証しとして書いていたもの」と語る。御朱印の本来の意味を大切にしつつ、「人とお寺をつなぐものとしてご縁を大切にしたい」と求められれば書いている。

 御朱印は喜捨として1枚500円。事前の問い合わせが必要。雲蝶が手がけた天女が描かれた納経朱印ちょうも1冊2000円で販売している。

住所/魚沼市根小屋1765
問い合わせ/025-794-2266

石川雲蝶の天女が描かれ人気の納経朱印帖

諏訪社(湯沢町)

小説「雪国」の舞台にも

 諏訪社(湯沢町)は川端康成の小説「雪国」の舞台として知られる。境内に立つ大杉は、作中で「恐ろしい神の武器のよう」と形容されている。根元にある平らな石には駒子が腰を下ろし、島村と愛を芽生えさせたとされ、境内に立つと名作の世界を味わえる。

 社がいつできたかは不明だが、氏子の岸野正嗣さん(74)は「大昔から鎮守様として大切にしてきた神社です」と誇らしげに語る。

 春祭5月30日、夏祭8月17日、秋祭10月30日、歳旦祭1月1日の年4回、地域の人々が集い、神事を執り行ってきた。

 宮司の宮本直文さん(68)は「諏訪社は地域に支えられ、伝統を守ってきた。神道では一番大切なことです」と話す。

 御朱印は、宮司がいる祭りの時だけで、1枚300円。

住所/湯沢町湯沢858
問い合わせ/南魚沼市の春日神社
025-782-2210

小説「雪国」の中に出てくる大杉と平らな石=湯沢町の諏訪社

長徳寺(十日町市)

震災乗り越えた仁王門

 長徳寺(十日町市)は長い歴史を感じさせる古寺だ。重厚感が漂う仁王門は江戸時代、出雲崎の大工らの手によって建てられた。

 左右に立つ迫力ある金剛力士像は、江戸中期から後期の作とされる。ともに、中越地震も乗り越えてきた。

 本尊の千手観音は801年、征夷大将軍の坂上田村麻呂が北国征伐の途次、この地に安置したのがはじまりとされる。

 信濃川の西側、同市川西地区(旧川西町)の田園地帯の一角に立つ。越後三十三観音霊場の第十番札所としても知られる。

 「特に宣伝もしていませんが、毎日のように御朱印を求める人が来ています」と住職の奥山寛千さん。本堂に続く参道は静寂に包まれていた。

 御朱印は1枚300円。

住所/十日町市友重乙170-1
問い合わせ/025-768-3930

豪雪地の厳しい冬にも、長年耐えてきた仁王門=十日町市の長徳寺

見玉不動尊(津南町)

秋山郷の入り口 圧巻の滝

 秋山郷の入り口に位置する、見玉不動尊(津南町)。境内は山の斜面にあり、本堂へと登る、急な石段の脇を、清水が7段の滝となって勢いよく流れ落ちる。一帯は真夏でもひんやりとした空気に包まれ、豊かな清水が水田を潤してきた。

 800年以上前、壇ノ浦の戦いで敗れた平家の家臣が、この地まで不動明王の像を持って逃げてきた。だが現在の津南町付近で像が動かなくなった。家臣はこれをお告げと信じて、寺を造ったことが見玉不動尊のはじまりとされる。

 近隣では最も古いお寺として、地元の人たちの信仰を集めてきた。住職の池田明順さん(56)は「寺の名前のとおり眼病に御利益があると言われています」と話す。江戸時代には文人、鈴木牧之も滞在したという。

 御朱印は1枚300円。

住所/津南町秋成9761
問い合わせ/025-765-3886

山の清水が滝となって流れ落ちる境内=津南町の見玉不動尊

雲洞庵と関興寺(南魚沼市)

名文句「土踏んだか」「味噌なめたか」

 「雲洞庵うんとうあんの土踏んだか」「関興寺の味噌みそなめたか」。こんな古くからの言い伝えで知られるのは、南魚沼市の古刹こさつ、雲洞庵と関興寺だ。

 雲洞庵は本堂に至る参道の下に、法華経ほけきょうを1字ずつ記した石が埋められている。踏みしめてお参りすると御利益にあずかれるありがたいものとして、参拝して「土踏んだか」といわれるようになったとされる。

法華経の文字が記された石が埋められているという参道=南魚沼市の雲洞庵

 関興寺は戦国時代、上杉謙信没後の家督争いによる戦火でお堂などが焼失した。だが上杉家寄進の経文は桶の中の味噌に埋められていて難を逃れたとされる。その後「(経文を守った)ありがたい味噌」として寺の名物となった。関興寺味噌は試食もでき、1個500円。

 御朱印はともに1枚300円。

【雲洞庵】
住所/南魚沼市雲洞660
問い合わせ/025-782-0520

【関興寺】住所/南魚沼市上野267
問い合わせ/025-783-2111

お盆や正月休みに帰省した人たちもお土産に買っていくという味噌=南魚沼市の関興寺

自転車で魅力再発見

ご朱印ライド 南魚沼で初開催

 自転車で神社仏閣を回り、御朱印を集めるイベント「ご朱印ライド」が8月上旬、南魚沼市で開かれた。県内外の自転車愛好家ら約20人が参加。「普段は行かない寺や神社にお参りするいい機会になった」といった声が聞かれた。

 ご朱印ライドは自転車で地域おこしに取り組むNPO法人フレンドシップサイクル協会(千葉県我孫子市)が全国各地で開催している。同市では初めてだ。

 参加者は猛暑の中、各自のペースで自転車を走らせ、関興寺や八海神社などを回った。八海神社では、鳥居などを見ながら境内をしばらく散策。お参りして御朱印を書いてもらうと、自転車にまたがり、次の目的地へと向かった。

 自転車で地域の魅力を発信するユーチューバー、MIHOさんの姿も。「ご朱印ライドは3回目。毎回いろんな御朱印や発見があって、自分の世界が広がります」と笑顔で話した。

 イベントを受け入れた五十沢観光協会の小杉時夫会長(65)は「今回のような取り組みが地域の魅力を再発見し、見つめ直す機会になってくれたらうれしい」と語った。

御朱印を持ち記念撮影するMIHOさん=南魚沼市

※情報は掲載当時のもの