
1月22日 謙信 秩序生かして統治
新潟日報政経懇話会上越会の1月例会が22日、上越市のデュオ・セレッソで開かれ、東京大史料編纂(へんさん)所教授の本郷和人氏が戦国大名の上杉謙信をテーマに講演した。謙信の領国経営や関東への度重なる出兵は「室町幕府の秩序を生かし、重んじる側面があった」と語った。
要旨は次の通り。
一、謙信は小説などでは他国を侵略しない義の武将とのイメージで描かれているが、それでは家臣の恩賞となる新たな領土を得られない。そこで、家臣がもともと持っている土地の領有を保証する「本領安堵(ど)」によって主従関係を保っていたと考える。統治者としての大義名分を得るため、「国主」の名称など旧来の秩序も生かした。相模国(神奈川県)の北条氏との戦いを重ねたのも、室町幕府の中で重要な役割だった関東管領に就いたことが背景にあるとみられる。
一、ライバルの武田信玄が信濃国(長野県)を攻め上ってきたのは、食生活で不可欠な塩が取れる越後の海や、青苧(あおそ)の交易が盛んな直江津の港を欲したからだ。謙信にとって「川中島の戦い」は、直江津の港を守るための戦いだった。それは、信玄が今川氏を侵攻して駿河国(静岡県)の海を得ると川中島の戦いが終わったことからもいえる。
一、川中島の戦いが終わり北条氏とも和睦すると、謙信は領地を広げる戦いへと方向性を大きく変える。武田氏や北条氏の勢力圏を避け、北陸地方の越中国(富山県)、能登国(石川県)などに攻め込んだ。最終的には計140万石程度まで勢力を広げており、交易での成功も含め、見事な戦国武将だった。
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