柳澤協二氏(国際地政学研究所理事長)

2月14日 詰め甘い安全保障戦略

 新潟日報政経懇話会長岡会の2月例会が14日、長岡市の長岡グランドホテルで開かれ、NPO法人国際地政学研究所理事長で、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏が「混迷する世界と日本の安全保障」と題し、講演した。非戦の選択という視点から「大国に依存する抑止の時代は終わった。日本は戦争を防ぐため、日本への脅威を口実にさせない専守防衛戦略と、それを補うしたたかな外交力が求められる」と説いた。

 要旨は次の通り。

 一、一昨年末、岸田政権の下で策定された「国家安全保障戦略」は日本の安全保障の大転換だ。ウクライナに侵攻したロシアと同じ専制主義の中国の脅威に備え、自由で開かれた国際秩序を守る目的で防衛力を強化し、同志の国々と連携して抑止力を高めていく手段が示されている。だから防衛費を倍増という論理だ。
 一、ただ、今の戦略は詰めの甘い議論と言わざるを得ない。反撃能力(敵基地攻撃能力)は日本への攻撃着手を前提とするが、ミサイルは発射されないと、日本を標的にしているか分からない。敵国の基地に先に攻撃すれば撃ち合いとなる。中国のミサイル数は5年後に1万発にもなると想定される。今の防衛戦略で抑止になるのか、よく考えないといけない。
 一、台湾有事の際、米軍が日本の基地から出撃するには、日米の事前協議が必要になる。イエスなら日本も戦争当事者になり、ノーなら日米同盟は崩壊する。どちらも選びたくない。政治がやるべきは、台湾有事をどうしたら起こさせないか考えること。台湾の政治的な現状維持のために膨大な犠牲を払うのか、国民的な議論も問われている。

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