呉座勇一氏(国際日本文化研究センター助教)

8月29日 長期的展望欠いた謙信

 新潟日報政経懇話会長岡会の8月例会が29日、長岡市の長岡グランドホテルで開かれ、国際日本文化研究センター助教の呉座勇一氏が「川中島合戦に学ぶ戦略的思考」と題して講演した。上杉謙信が個々の戦闘で戦果を挙げても、結果的に北信濃から武田信玄を排除できなかったことを引き合いに「政治やビジネスで活躍するには、目の前の戦いに勝てばよいのではなく、長期的な展望を持たないと最終的な成功につながらない」と述べた。

 要旨は次の通り。

 一、川中島合戦は北信濃の争奪戦で、1553年から64年にかけて5回にわたり行われたとされる。信濃の掌握をもくろんだ信玄に対し、北信濃の武将から助けを求められた謙信が出陣。信玄の攻勢を謙信が押しとどめようとする展開だった。
 一、謙信は個々に戦果は挙げるが、信玄は撤退後に領地を奪い返すなどして、北信濃の支配を強めていった。最大の激戦だった第4次合戦で謙信は、二手に分かれて挟み撃ちにしようとした信玄の作戦を見抜き、信玄の本陣を急襲。多くの有力武将を倒した。しかし、戻ってきた武田軍の別動隊に挟まれて撤退した。合戦には勝利したと言えるが、信玄の勢力拡大を食い止めることはできなかった。
 一、信玄は北条氏と同盟を結んだため、謙信は信濃と関東の二正面作戦を強いられ、戦略的に圧倒的不利だった。謙信がいくら戦に強くても、戦略の失敗を挽回できなかった。不利な状況でも戦ったのは、助けを求められたら助けるのが正義という価値観で、損得ではなかったのだろう。

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