柯隆氏(東京財団政策研究所主席研究員)

10月18日 台湾侵攻の可能性低く

 新潟日報政経懇話会長岡会の10月例会が18日、長岡市のホテルニューオータニ長岡で開かれ、東京財団政策研究所主席研究員の柯隆(かりゅう)氏が「習近平政権の正念場」と題して講演した。いわゆる「チャイナリスク」について「中国経済は急減速しており、台湾に侵攻する可能性は極めて低い」と説いた。

 要旨は次の通り。

 一、中国経済が落ち込んだのは、構造的な問題にある。社会主義体制を諦めない限り、減速は避けられない。習近平政権では、経済活動の自由が奪われ、3年間の「ゼロコロナ」政策で400万社の中小零細企業が倒産した。中国政府の発表では若者の失業率は18%台だが、出稼ぎ労働者を含めると40%を超える。雇用の悪化で消費は伸びず、企業も設備投資を控える負の連鎖になっている。
 一、中国の不動産バブルは崩壊した。この痛みは長期化するだろう。中国の土地は国有だ。地方政府がデベロッパーと結託し、土地の使用権を高く払い下げる形で開発が進み、バブルが膨らんだ。このため、崩壊後の影響は土地使用の財源を失った地方政府に飛び火し、年金難民といった社会不安が生じている。 
 一、先日、中国軍が台湾包囲網の軍事演習を行った。ただ今回は本当に戦う準備をする「演習」というより、圧力をかけるための「演技」に過ぎない。経済が落ち込む中で、戦費の調達が困難となり、長期戦は難しい。中国にとっての弱みは、世界最大級の三峡ダムだ。攻撃され、決壊すれば長江(揚子江)下流の三大都市が被害を受ける。台湾有事の可能性は低く、正しく恐れることが重要だ。

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