(更新:2021/10/27)
県内6小選挙区全てで与野党対決の構図となった第49回衆院選は終盤に差し掛かり、激しさを増している。2区で野党に差を付け、3区でも勢いを増す自民党に対し、野党共闘勢力は1、5区で有利に戦いを進める。4、6区は先を見通せないほどの接戦になっている。23~26日に新潟日報社が実施した世論調査や取材を基に終盤情勢を詳報する。(敬称略)
(名簿は届け出順で敬称略。氏名、投開票日の年齢、主な役職・経歴、所属政党。( )内の数字は当選回数)
※前=前職、元=元職、新=新人
自=自民、立=立憲民主、共=共産、維=日本維新、国=国民民主、無=無所属
石崎 徹 | 37 | 党1区支部長 | 維元(3) |
塚田 一郎 | 57 | 元国交副大臣 | 自新 |
西村智奈美 | 54 | 元厚労副大臣 | 立前(5) |
野党統一候補で立憲民主党前職の西村がリードし、前参院議員で自民党新人の塚田が追う。1区に多いとされる無党派層の4分の1程度が態度を決めておらず、動向が注目される。
西村は政府の新型コロナウイルス対応や経済政策への批判を強め、立民の約9割、共産の7割超に幅広く浸透した。無党派層の半数以上から支持を得た上、自民、公明党の一部にも食い込む。
男女から4割近い支持を集めた。年代別では40代以上で強みを見せ、特に60代と70代以上は5割前後を押さえる。
職業別では、年金受給者らの5割超、契約社員らの約4割を固めた。正社員も3割超が支持している。
塚田は支持基盤となる自民支持層の約6割、公明の5割強しか固められていない。市議・県議を中心に、企業や自民支持者らへの支援呼び掛けを急ぐ。無党派層への浸透も課題で、1割超しか取り込めていない。
年代別では30代の5割強、20代の4割強の支持を集め、若い世代で浸透している。
政策実行力をPRし、所得向上政策などを訴える。職業別では、正社員の4割弱から支持を得たほか、自営業の約5割が支持した。
日本維新の会元職の石崎は行政改革などを訴え、幅広い支持層への浸透を狙うが、苦戦している。
有権者数は約43万5千人。陣営関係者は投票率を55%前後とみていて、当選ラインは10万票程度と見込まれる。
高倉 栄 | 50 | 前県議 | 国新 |
細田 健一 | 57 | 経産副大臣 | 自前(3) |
平 あや子 | 41 | 前新潟市議 | 共新 |
自民党前職の細田が幅広い支持を集めて安定した戦いを展開する。野党分裂により、野党支持層の受け皿になりきれていない国民民主党新人の高倉、共産党新人の平を引き離している。
細田は各地域、年代、職業別で他候補を引き離す。自民・公明支持層の8割近くを固めたほか、無党派層や野党系の一部にも浸透する。
公認争いをし、比例単独候補に回った自民前職の鷲尾英一郎が応援演説などで支援。鷲尾は前回選に野党系無所属で当選していることから、その支持層も取り込んでいるとみられる。
連合新潟が推薦する高倉は、政党支持別で国民の約6割、立民の4割弱を押さえるにとどまり、他候補への流出を許している。無党派層の5割近くが態度未定で、取り込みが課題だ。
県議時代の地盤だった燕市周辺でも支持は2割に満たず、他地域には依然浸透していない。年代別では30~50代で一定の支持があるが、細田には及ばない。
平は、社民支持層の3分の2、立民の約3割を取り込み、従来の共産候補より幅広い支持を集める。米価下落の対応を訴えて職業別で農林水産業者の一部も押さえた。
一方、反原発を訴えるものの論戦が低調なこともあり柏崎市周辺地域の支持は約1割と苦戦。女性層の支持も伸び悩んでいる。
有権者数は約28万9千人。投票率が前回を下回る50%台となり、当選ラインは5万票台半ばとみられる。
黒岩 宇洋 | 55 | 元法務政務官 | 立前(3) |
斎藤 洋明 | 44 | 元総務政務官 | 自前(3) |
前回50票差の僅差で敗れた自民党前職の斎藤洋明が勢いづき、やや先行する。立憲民主党前職の黒岩が小選挙区の議席を守るべく、猛追する展開だ。無党派層の半数以上が態度を決めておらず、最終盤でどれだけ票を取り込めるかが勝敗を左右しそうだ。
斎藤は20~50代の若・中年層で優位に立ち、50代ではほぼ半数の支持を得る。正社員や契約社員、自営業からの支持が厚い。青年部組織を増やすなど、現役世代との接点を増やしてきたことが奏功したもようだ。
地元の村上市など県北地域で浸透し、前回選挙では黒岩より得票数が少なかった新発田市周辺でも健闘している。一方で、阿賀南地域では伸び悩む。
政権与党の政策実行力を強調し、自民の8割弱、公明の7割強を押さえた。
立民前職の黒岩は野党統一候補として臨み、立民の9割弱を固め、共産党をほぼまとめている。自民の1割強も取り込んだが、頼みの綱となる無党派層の支持はほぼ並んでいる。
米価の下落対策として、農業者の戸別所得補償の復活を掲げているが、農林水産業からの支持は、斎藤よりも低い。
地域別では、前回選挙で斎藤を上回った新潟市北区や五泉市周辺では今回も支持を得られているが、郡部では離されている。
有権者数は約29万9千人。両陣営とも投票率は前回63・31%並みか若干下回るとの見方が多い。63%なら、当選ラインは9万5千票前後となる。
菊田真紀子 | 52 | 元外務政務官 | 立前(6) |
国定 勇人 | 49 | 前三条市長 | 自新 |
立憲民主党前職の菊田と自民党新人で前三条市長の国定が互角の展開。菊田は旧新津市を含む新潟市南部でややリードし、国定は大票田・三条市を含む県央周辺で先行する。都市部に多い無党派層の3割がまだ投票先を決めておらず、有権者の多い三条市や新潟市で支持を広げられるかが分かれ目となりそうだ。
野党共闘で臨む菊田は立民、共産、社民支持層の9割を固めた。強固な後援会組織がフル稼働し、自民と公明支持層の1割超にも食い込む。無党派層の支持では国定をわずかに上回る。
子育て支援や農業振興策を強調し、職業別では主婦層と農林漁業で4割以上の支持を得る。若年層の取り込みと県央エリアでの集票が課題だ。特に30代以下で国定に後れを取る。終盤に向け党幹部が続々と4区入りし、てこ入れを図る。
国定は保守系地方議員や商工団体の支援を受け、分厚い組織戦を展開する。自民支持層の約7割、公明の約8割から支持を集めた。序盤戦では出遅れ感のあった無党派層の支持も広がってきた。
市長時代の実績をアピールし、地域の発展には与党の国会議員が必要だと訴える。中盤に入り、知名度があるため集票が見込める県央周辺での活動を強化。このエリアでの支持は4割超に上る。
有権者数は約30万8千人。投票率は前回より低い60%ほどとみる向きが多い。接戦が見込まれるため、当選ラインは9万3千票前後に下がると見込まれる。
米山 隆一 | 54 | 前県知事 | 無新 |
森 民夫 | 72 | 前長岡市長 | 無新 |
泉田 裕彦 | 59 | 国交政務官 | 自前(1) |
事実上の野党統一候補で前知事の無所属新人・米山が、野党や無党派層の支持を得て優位を保つ。元知事の自民党前職・泉田は、保守層固めと都市部への浸透で追い上げる。前長岡市長の無所属新人・森は支持拡大で後れを取る。
政権交代を訴える米山は、支援を受ける立憲民主、共産各党の支持層の6割以上が支持。無党派層の3割強を獲得し、自民支持層の2割弱にも食い込む。
職業別では農林水産業の5割、契約社員の4割、年金生活者の4割が支持する。性別では、男女問わず支持を集める。出身地のある魚沼エリアで浸透する一方、長岡市で伸び悩み、どう支持を広げるかが鍵だ。
序盤で自民支持層を固め切れなかった泉田は、党員への呼び掛けなどに力を入れ、支持は5割とやや上向いた。公明支持層も5割にとどまる。無党派層は2割強で浸透が課題だ。
職業別では自営業、正社員の4割前後から支持を受ける。20代の6割、30代の4割と若者の支持が厚い半面、50代以上は2割程度にとどまる。地域別で長岡市で米山をやや上回る。
森は、5区選出の自民衆院議員だった故長島忠美氏の後継を強調するが、現状では自民支持層の取り込みが図れていない。長く市長を務めた長岡市での支持拡大も課題だ。
有権者数は約27万6千人。各陣営は、投票率が前回の64・97%前後になると見通す。三つどもえの戦いで、当選ラインは7万6千票前後になるとみられる。
梅谷 守 | 47 | 元県議 | 立新 |
高鳥 修一 | 61 | 元農水副大臣 | 自前(4) |
神鳥 古賛 | 53 | 派遣社員 | 無新 |
5選を目指す自民党県連会長の前職・高鳥と、3度目の挑戦となった立憲民主党新人・梅谷が、大票田の上越市を中心に激しく競り合う。無党派層の3割が態度を決めておらず、最終盤の情勢を左右しそうだ。
高鳥は県議や市議、企業後援会をフル動員し、全域で保守層を取り込んでいる。自民、公明党支持層のいずれも8割を固めた。
30代の5割、60代で4割以上の支持を集めるなど幅広い年代に浸透。十日町市周辺で先行し、序盤情勢で伸び悩んだ糸魚川市などでも支持を固めつつある。
新型コロナウイルスの影響に苦しむ事業者への支援強化を訴え、自営・自由業の4割を超える支持を得ている。無党派層からの支持は2割台にとどまる。
一方、前回選に続いて野党共闘態勢で臨む梅谷は立民支持層の9割を固め、共産党、国民民主党、社民党の支持者取り込みも進んでいる。地盤の上越市に多いとされる無党派層の4割超に浸透している。
年代別では70歳以上の半数近くから支持を得る。戸別所得補償制度の復活を訴え、農林水産業からの支持は高鳥とほぼ並んでいる。
自民支持の強い糸魚川市などで高鳥を猛追。十日町市周辺で保守地盤の切り崩しを図る。
無所属新人の神鳥は浸透していない。
有権者数は約27万3千人。陣営は投票率を前回選の66・22%並か、やや下がるのではないかと予想しており、当選ラインは9万票前後とみられる。