過去の衆院選

衆院選2021

県内小選挙区の情勢

(更新:2021/10/21)

3、4、6区与野党競る

 31日投開票の第49回衆院選に向け、新潟日報社が加盟する共同通信社は19、20の両日、新潟県内6小選挙区を対象に電話などによる情勢調査を行った。新潟日報社はその結果に独自取材を反映させた上で公示直後の序盤情勢を探った。

 一方、各選挙区とも回答した有権者の2~3割は投票先を決めておらず、今後情勢が変わる可能性もある。(敬称略)

 

(名簿は届け出順で敬称略。氏名、投開票日の年齢、主な役職・経歴、所属政党。( )内の数字は当選回数)
※前=前職、元=元職、新=新人
自=自民、立=立憲民主、共=共産、維=日本維新、国=国民民主、無=無所属

<1区>

西村先行、塚田が追う
無党派層への浸透焦点

石崎  徹 37 党1区支部長 維元(3)
塚田 一郎 57 元国交副大臣 自新
西村智奈美 54 元厚労副大臣 立前(5)

 立民前職で野党統一候補の西村がやや先行し、自民新人で公明が推す塚田が追う。無党派層の約4割が態度未決定で、勝敗を左右しそうだ。

 西村は前回選に続く野党共闘体制で臨む。連合新潟が主力で党の市議、県議が支える。共産など野党各党も応援する。

 立民支持層の9割超を固めたほか、共産も約7割が推すなど野党支持層に浸透した。自民支持層の1割超も取り込む。無党派層からも約4割の支持を集めた。

 年代別では高齢者層で支持を広げ、女性からの支持は塚田を大きく離した。

 塚田は参院議員時代からの支援者らが中心となり、県議・市議が脇を固め、保守票の獲得を進めてきた。

 公明支持層の8割以上を固めたが、自民は約6割にとどまる。選対は無党派層を意識し、インターネットなどを活用した選挙戦を展開するが、無党派層の支持は1割強にとどまる。

 年代別では若年層を中心に西村を上回る支持を集めている。

 維新元職の石崎は維新支持層の4割超しかまとめられず苦戦している。かつて在籍した自民の支持も広がっておらず、無党派層にもあまり浸透できていない。

<2区>

細田 地域超え優位に
野党の支持分裂

高倉  栄 50 前県議 国新
細田 健一 57 経産副大臣 自前(3)
平 あや子 41 前新潟市議 共新

 公認争いが決着し、候補を一本化した自民の前職細田が優位に立つ。分裂選挙となった共産新人の平、国民新人の高倉は野党系の支持が割れ、苦しい戦い。

 細田は自民、公明の各支持層の約7割を固めた。地域や世代を超えて広く浸透している。ただ、自民支持層の約2割は投票先を決めかねており、自民前職で比例単独候補に回った鷲尾英一郎との公認争いの余波ものぞく。

 一方、立民支持層の3分の1、無党派層の6割弱が投票先を決めていない。前回選に野党系から出馬し、当選した鷲尾に代わる受け皿が見つからない状況がうかがえる。

 反原発を強調する平は共産支持層を固め、立民支持層の3分の1強を押さえた。一方、無党派層の支持は約1割。高齢者層には比較的強いが、50代以下には浸透していない。ジェンダー差別解消を訴えるが、女性の支持も伸び悩んでいる。

 高倉は国民支持層の6割超が推すものの、立民支持層には平ほど浸透していない。前県議としての地盤だった燕市、弥彦村周辺地域では強いが、柏崎市周辺などでの浸透に課題が残る。年代別は30~50代でそれぞれ平を上回った。

<3区>

斎藤、黒岩せめぎ合う
新発田での得票が左右

黒岩 宇洋 55 元法務政務官 立前(3)
斎藤 洋明 44 元総務政務官 自前(3)

 前回50票差の僅差で敗れた自民前職の斎藤と、立民前職の黒岩が競っている。無党派層の多い新発田市や新潟市北区での得票数が勝敗の鍵を握る。

 斎藤は個人後援会を軸に、県議や首長からの手厚い支援を受けて運動する。地域でのあいさつ回りを精力的に続け、支持拡大を図ってきた。

 自民・公明支持層の約8割をまとめた。30~40代の支持が特に厚い。若手の経営者や農家などと交流を重ねたことなどが影響した可能性がある。

 前回約2千票差を付けられた新発田市の周辺地域でも健闘している。ただ、無党派層には十分浸透できていない。

 前回無所属で出馬した黒岩は、共産、社民などの支援を受けて野党統一候補として挑む。国会での政権批判で高めた知名度を武器に無党派層への浸透を図る。

 立民支持層の約8割、共産支持層の6割を固めた。無党派層からは4割を超える支持を得ているのが強みだ。

 60代以上の高齢者層の支持は斎藤氏とほぼ互角だが、40代以下で大きく離されており、若者に食い込めていない現状が浮き彫りになっている。

<4区>

菊田、国定 ほぼ横一線
支持層固め浮動票狙う

菊田真紀子 52 元外務政務官 立前(6)
国定 勇人 49 前三条市長 自新

 7選を狙う立民前職の菊田に自民新人で前三条市長の国定が挑み、接戦を繰り広げている。大票田・三条市を含む県央周辺エリアでは両者がほぼ横一線。無党派層の3割超が投票先を決めておらず、この層の支持をどれだけ伸ばせるかが勝敗を左右しそうだ。

 野党共闘で臨む菊田は、強固な後援会組織と連合新潟を軸に共産党の側面支援を受ける。

 立民、共産支持層の8割を固めた。無党派層や女性の支持はそれぞれ4割に上っている。年代別では50代以上の中高年層で4~5割の支持を得た。

 一方、40代以下では伸び悩み、支持者の高齢化をうかがわせている。子どもへの支援拡充を訴え、子育て世代への浸透を狙う。

 国定は保守系地方議員の全面支援を受け、保守層固めに力を入れている。

 自民支持層の7割超、公明の6割超をまとめた。年代別では20代以下と30代で5割以上の支持を得た。40代も4割超が支持する。

 三条市長を務めたことから圧倒的な知名度がある県央周辺エリアでは菊田と同程度の約4割の支持にとどまる。無党派層の支持が弱く、終盤に向けての対策が焦点となりそうだ。

<5区>

米山が全域でリード
泉田 保守層結集に課題

米山 隆一 54 前県知事 無新
森  民夫 72 前長岡市長 無新
泉田 裕彦 59 国交政務官 自前(1)

 首長経験者による三つどもえの争い。前知事で事実上の野党統一候補である無所属新人の米山が先行し、元知事の自民前職の泉田、前長岡市長の無所属新人、森が追う。

 米山は自公政権の転換を訴え、支援する野党各党の組織がフル稼働する。

 立民支持層の7割や共産、社民支持層の8割以上を固める。無党派層の取り込みでも一歩先んじる。大票田の長岡市、出身地の魚沼市を含む魚沼地域のいずれでもリード。年代別では中高年層の支持が高い。

 泉田は知名度を生かしながら1期4年の実績や政権与党の実行力を訴え、自民の各地区組織が支える。

 若年層の支持が高い。公明支持層の7割を固める一方、自民支持層は一部が森に流れて4割と伸び悩む。基盤とする保守層の支持固めと、無党派層にどこまで浸透できるかが課題だ。

 森は政党、組織に頼らず支持者回りを中心に「草の根」の戦いを展開する。

 全国市長会長時代などの実績を基に保守層にアピールし、自民支持層の2割に食い込むが、無党派層への浸透が課題。市長を長く務めた長岡市では泉田と互角の戦いを演じるものの、米山に先行を許す。

<6区>

梅谷、高鳥が接戦展開
大票田・上越の動向が鍵

梅谷  守 47 元県議 立新
高鳥 修一 61 元農水副大臣 自前(4)
神鳥 古賛 53 派遣社員 無新

 立民新人で野党統一候補の梅谷と、5選を目指す自民前職の高鳥が接戦を繰り広げる。市長選・市議補選とのトリプル選となる大票田・上越市の有権者の動向も、選挙戦の行方を左右しそうだ。

 梅谷は労働団体の連合新潟に加え、共産、社民から支援を受ける。野党勢力の強い上越市を拠点に、周辺部へ浸透を図る。出馬を断念した前立民参院議員の支持者取り込みも狙う。

 立民や共産支持層の8割超をまとめ、無党派層の4割を引き寄せる。50代以上の支持を集めるが、若年層は弱い。無党派層と女性の多い上越市で高鳥に先行し、糸魚川・妙高、十日町・津南地域でも競り合う。

 高鳥は地方議員や企業後援会を主力とする組織戦を展開。公共事業誘致など政権与党の実績をアピールする。上越市では市長選と市議補選の陣営とも連動し、支持拡大を目指している。

 自民支持層の7割、公明の5割を取り込み、40代以下の支持が厚い。無党派層は2割にとどまり、女性からの支持も伸び悩む。十日町・津南地域で若干先行。「決戦場」と位置付ける上越市で追いかける展開だ。

 無所属新人の神鳥はまだ浸透していない。