
小麦を使わないグルテンフリーや、アレルギーの原因物質が含まれないアレルゲンフリーの食材に注目が集まる中、米粉の加工や特徴について理解を深めるセミナーが、新潟県柏崎市の新潟工科大学で開かれた。食品企業の開発担当者やコメ農家、小売業者など約60人が参加し、米粉の市場拡大につなげようと、食品加工の専門家らによる講演に耳を傾けた。
セミナーは2011年に始まり、今回は5回目で、17年以来の開催となった。4回目までは東京や新潟市で行っており、家庭での消費拡大を目指し、一般向けに料理教室を交えた構成だった。
工科大の大倉正寿理事長が新潟米粉研究会の顧問を務めている縁もあり、今回は初の柏崎市開催となった。米粉のさらなる認知度向上につなげようと、企業向けに切り替え、専門家の講演に特化した。
基調講演では、研究会の会長で江川技術士事務所・農業部門(新潟市秋葉区)の江川和徳所長が「人生100年の食を米粉で」と題し、生活習慣病予防における米粉の有用性について解説した。
食生活の変化に伴い、脂質の過剰摂取が問題となっていると指摘。米粉と発酵食品を掛け合わせることで、脂質の吸収を抑える効果が期待でき、疾病リスクの低減につながると述べた。
米粉は加工性が高く、どんな食材とも組み合わせられると強調し、「多くの産業と連携し、人生100年時代のニーズに応えられるような素材を開発することが、米粉の消費拡大につながる」と締めくくった。
新潟薬科大の大坪研一特任教授らの講演も行われた。参加者らは米粉の活用例の紹介や、コメに含まれる成分の解説を聞き、米粉を使った商品開発のヒントを得ていた。
講演後は試食会もあり、タイナイ(胎内市)の米粉パンと、小国製麺(小国製麺)の米粉で作ったマカロニのサラダが振る舞われた。参加者からは「アレルゲンフリーの食品はありがたい」「もちっとしていておいしい」といった感想が上がった。
ブルボン(柏崎市)で機能性食品の開発を担当している野中咲菜絵さん(38)は「米粉に含まれる成分にはこんなに機能性があるのかと参考になった。今後の開発に生かしていきたい」と語った。
セミナーが行われた4日は「米粉の日」。主催した「新潟米粉研究会」が、米粉をコメの子ども、コメの半分と見立て、「米」の漢字を分解した八十八の半分の四十四から、4月4日を米粉の日として11年に制定した。
◆県内メーカーの製品使った限定メニューを学食で提供、定番化に期待の声も
セミナーの試食会とは別に、新潟工科大の学生食堂では、新潟製粉(胎内市)や小国製麺などの新潟県内メーカーが手がける米粉製品を使用した料理が、数量限定で提供された。多くの学生や教職員らが列をつくり、...