第2弾 魚沼

[未来のチカラ in 魚沼]

雪国を耕す磨く育む 10年後への提言

 魚沼地域の未来をどう描くか-。3市2町でまちづくりなどに関わる住民が、ワークショップを開き、議論を重ねてきた。2019年8月から今月まで、観光振興や移住定住など、さまざまなテーマに及んだ。メンバーは話し合いの結果を10月22日、南魚沼市で開かれる、新潟日報社の「未来のチカラin魚沼」提言フォーラムで発表する。ワークショップに参加した住民8人が考える、10年後の地域の在り方を紹介する。

新潟日報 2019/10/16

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地域PR団体「このめ」代表
山本あいさん(22)=南魚沼市=

故郷知る機会設けて

山本あいさん

山本あいさん

 南魚沼市の六日町高校に通っていた頃、将来を「地元での就職も、外に出て進学しUターンしてくることも、イメージができなかった」と振り返る。

 周囲には、親から「東京へ進学して働いた方が、幸せになる。戻って来るな」と言われた友達がたくさんいたという。

 自身は神奈川県の大学に進学。故郷を離れて初めて知ったのは、南魚沼の人の魅力と自然の豊かさ。いつか自分も戻りたいと思った。若者が地元で将来を描けないのは「地元を知らないから」と分析する。

 子どもの頃から地域を学ぶ機会、大人と交流できる場を設ければ、長期的にはUターンにつながるとみる。10年後の魚沼地域について「地元で暮らすイメージができる子どもで、いっぱいになっていてほしい」と願う。

 「帰りたい人が帰れるまち」をキーワードに、現在は同市のシェアハウスを拠点に、若者に向けて地域の魅力を発掘・発信するといった活動に力を注ぐ。

 移住定住を進めるためには「地元住民が楽しく暮らしていなければ、外から人を呼んでも定着は難しい。住民が輝く町にこそ移住定住が進む」と語っていた。

<やまもと・あい> 南魚沼市生まれ。神奈川大学4年生。ことし大学を休学し、高校時代の同級生らと任意団体「このめ」を設立。地域の魅力を発信するため、中高生対象のイベント開催や、会員制交流サイト(SNS)で大学生が地元に帰ってくる様子を伝える。

南魚沼市女子力観光プロモーションチーム・メンバー
岡崎理香さん(40)=南魚沼市=

移住者に交流の場を

岡崎理香さん

岡崎理香さん

 「運転免許の有無が移住定住に、最初のハードルとなる」。16年前、横浜市から夫の出身地、南魚沼市へ転居した際、最初に困ったことは、自動車免許がなかったことだという。

 「都市部と違い、車がないと不便。免許を取るとなれば自動車学校の費用に加え、自動車購入も多額な負担」として、高齢者の移動手段の確保も含め、公共交通の充実を課題に挙げた。

 引っ越し直後、家族以外には知り合いもおらず、孤立感があった。だが近所の住民や夫の友達が支えてくれた。「移住者が、さまざまな情報を得られ、『他者とつながれる力や場所』を提供すべきだ」と語る。

 働き口についても課題は多いとみる。フルタイム勤務の求人は男性が中心。子育て中の女性にはパート勤務が大半で、掛け持ちする女性も多いという。「一つの仕事で十分な収入が得られる勤め先が増えれば、移住定住する人にも魅力的に映る」と語る。

 小中学生、合わせて3人の子どもを育てている。学校教育の場で故郷の魅力を学ぶ機会が少ないと感じる。同時に大人も知るべきと考える。「親が知らなければ、子どもたちに語れないから」と話した。

<おかざき・りか> 神奈川県生まれ。南魚沼市内で子育てをしながらビューティープロデューサーとして起業。地元の情報をインターネットで発信する「南魚沼市女子力観光プロモーションチーム」のメンバーとして、同市の魅力を県内外に伝えている。

記事一覧

[未来のチカラ in 魚沼]

雪国を耕す磨く育む 10年後への提言<1>

新潟日報 2019/10/16

[未来のチカラ in 魚沼]

雪国を耕す磨く育む 10年後への提言<2>

新潟日報 2019/10/17

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雪国を耕す磨く育む 10年後への提言<3>

新潟日報 2019/10/18

[未来のチカラ in 魚沼]

雪国を耕す磨く育む 10年後への提言<4>

新潟日報 2019/10/19