第2弾 魚沼

[未来のチカラ in 魚沼]

雪国を耕す磨く育む 10年後への提言

新潟日報 2019/10/17

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スーパー・セキノヤ代表
関和雄さん(36)=魚沼市=

若者の力を商店街に

関和雄さん

関和雄さん

 家業のスーパーのある魚沼市小出地区をはじめ、市内の商店街は空き店舗が目立つ。「30年後には、店の大半がなくなるかもしれない」。そんな危機感から「若くて意欲のある人が出店できる支援策や仕組みが必要だ」と提言する。

 本業とは別に昨年、堀之内地区の商店街に雑貨店を出店した。地域の交流スペースとして使われていた店舗が空いたため、安価で借り受け、リノベーションした。さらに余ったスペースには、同世代が経営する、ネイルサロンとアジア系料理のレストランが入居し、徐々に人が集まり始めた。

 「若者が新しい風を呼び込めば元気と刺激が与えられ、商店街が生まれ変わる」とし、さらなる空き店舗の活用を探る。

 商工会青年部役員として、さまざまなイベントに関わった経験から「魚沼」が一体となって体験型観光に取り組む必要性を感じた。

 「単に見るだけの観光から脱却する。地域のイベントに参加してもらい、五感で感じる観光を進めるべきだ。『ディープな魚沼』に触れれば、訪れるファンの数は確実に増える」と力説した。

<せき・かずお> 魚沼市生まれ。同市小出地区でオーガニック商品を扱うスーパーを経営。小出商工会青年部副部長として2017年、のり巻き4千個以上を作るギネス世界記録に挑戦した実行委員長。今年、名称を変更した魚沼国際雪合戦大会を企画した。

魚沼市観光協会理事
榎本健二さん(51)=魚沼市=

レトロな街で誘客を

榎本健二さん

榎本健二さん

 魚沼地域が将来へ向け力を入れる産業は観光業だと説く。そのために必要なのは「昭和レトロ」を特徴にしたまちづくりだと、熱い口調で訴える。

 「商店街や温泉街をまるごと昭和の雰囲気が漂う空間として演出する。懐かしさが感じられるモノやサービスを提供すれば、幅広い世代の観光客に楽しんでもらえる」と語る。

 そう考える背景には、地元で進む深刻な人口減がある。東京で20年以上、会社勤めをした後、8年前にUターン。子どもの激減、空き家の増加…。変わり果てた故郷の姿に心を痛めた。

 人口減への対策には、観光で都会の人を呼び込み、「関係人口」の増加を図ることが重要と考える。

 魚沼市のまちづくりの起爆剤には、一部区間で不通が続く只見線の復旧と利用促進だと指摘する。

 「福島県側の奥会津沿線は、アジアの観光客でにぎわっている。全線開通すれば、こちらにも呼び込める」とし、「只見線観光圏」の推進を掲げる。さらに、只見線の列車を上越線の越後湯沢駅まで乗り入れることも提案。魚沼地域と群馬県でつくる「雪国観光圏」と連携し、さらなる広域観光の必要性を呼び掛けた。

<えのもと・けんじ> 魚沼市生まれ。2017年、市観光協会理事に就任。只見線の活性化を目指す有志の団体「只見線なんとか会」の代表を務める。「うおぬまレトロ化計画」の代表として、昭和と平成のレトロを特徴にした地域振興活動も展開している。

記事一覧

[未来のチカラ in 魚沼]

雪国を耕す磨く育む 10年後への提言<1>

新潟日報 2019/10/16

[未来のチカラ in 魚沼]

雪国を耕す磨く育む 10年後への提言<2>

新潟日報 2019/10/17

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雪国を耕す磨く育む 10年後への提言<3>

新潟日報 2019/10/18

[未来のチカラ in 魚沼]

雪国を耕す磨く育む 10年後への提言<4>

新潟日報 2019/10/19