日本を訪れる外国人旅行者数は毎年、過去最多を更新し、2018年には3000万人の大台に達した。上越地域のスキー場や温泉街もこの冬、スノーリゾートを満喫する外国人たちでにぎわった。彼らの目に日本は、そして本県はどんなふうに映るのか-。興味を抱いた本紙記者が、妙高、糸魚川、上越の3市を訪れる外国人に、滞在中の関心事や気付いた点などを直接聞いてみた。その結果から浮かび上がったのは、この地域の尽きない魅力だ。訪日客の声を紹介し、今後のまちづくりや誘客へのヒントを探った...
新潟日報社は2月上・中旬、数多くのスキー場やロッジが立ち並ぶ妙高市赤倉地区、同市のロッテアライリゾート、糸魚川市の糸魚川駅前、上越市の高田駅前で、訪日客に聞き取りを実施。どの国から来たのか、滞在中に何をしたのかなど共通の質問項目を用意し、グループの場合は代表者に答えてもらうなど50人余りから回答を得た。
居住地別で最も多かったのはオーストラリアの48.7%で、スウェーデン(18.0%)、中国・香港(12.8%)が続いた。東京(7.7%)と回答したのは、いずれも仕事の関係で日本に住む外国人だ。日本に拠点を持つIT企業で働くルーマニア人の夫婦や、外国語指導助手(ALT)として県内で働いた経験がある米国人女性らも含まれている。
滞在目的は「スキーが好きな夫と休暇を過ごすため」と答えた32歳の女性1人を除く全員が「スキー、スノーボードを自分が楽しむため」だった。年代別では20代と30代がそれぞれ30.8%と若年層の割合が高く、50代(17.9%)、40代(12.8%)、60代(7.7%)が続いた。
糸魚川市で聞き取りに応じた外国人は、夕食を目的にシャトルバスで長野県白馬地域から一時的に訪れている人が大半だった。糸魚川市の飲食店にいた王丁さん(34)は、居住するオーストラリアから友人と約1週間、白馬に滞在してスキーを楽しんでいる。「白馬の食べ物はいまひとつ。また糸魚川に来たい」と海鮮料理を堪能していた。
今回の旅行で日本国内や上越地域の滞在期間を尋ねたところ、1週間~2週間未満が53.8%と半数以上を占めた。次いで2週間~3週間未満(23.1%)、3週間以上(12.8%)など、長期休暇を取ってきた人が多かった。誰と一緒かを聞くと、配偶者や恋人と2人が43.6%、子ども世代など家族が28.2%、友人同士が17.9%で、1人で訪れた人も2.6%いた。
友人と妙高に滞在したロアン・ニュウエンさん(右)。スノーボードを楽しんだ=2月1日、妙高市二俣
オーストラリアから来たロアン・ニュウエンさん(32)は「2週間を白馬と妙高で半分ずつ過ごすの」と、男女6人の友人たちとスノーボードを楽しんでいた。
全体の35.9%は訪日経験があるリピーターだ。しかし、妙高や糸魚川など本県は「初めて」という人が多い傾向が見られた。
さまざまな国籍の人々でにぎわうホテルのフードコート。春節の連休中は中国系の家族連れが目立った=2月7日、妙高市両善寺のロッテアライリゾート
2家族10人でロッテアライリゾートを訪れ、中国の春節(旧正月)休暇を過ごしていた葉善勤さん(46)は「年6回は日本に旅行で来ているけれど、妙高は初めて」。妻とロッテに滞在していたオーストラリア人、スティーブ・スティルツァーさん(55)は「4年前に斑尾(長野県)に来たことがある。今回は妙高で1週間スキーを楽しんだ後、東京にも行く」と語った。
滞在中には、すしや刺し身、焼き肉を食べたり、温泉に行ったりしてくつろぐスタイルが定番のようだ。日本に対しては「美しい」「安全」という印象を抱く人が多く、旅先で出会った日本人の評価も「親切」「丁寧」で一致していた。