第3弾 長岡・見附・小千谷

[未来のチカラ in 長岡・見附・小千谷]

中澤卓也さんと着て見て巡る

<5> グルメ編

つるつる感いい/お薦めの酒持ちたい

そばや料亭の味堪能 大吟醸の豊かな香りも

新潟日報 2020/09/01

 長岡、見附、小千谷の3市を巡る旅の途中、中澤卓也さんは各地で自慢のグルメを堪能した。家族連れに人気のそば店や、おしゃれな日本酒バー、老舗の日本料理店。幼少期に親しんだふるさとの味を懐かしむとともに、ほんのりと漂う日本酒の香りに新たな魅力を発見した。

 小千谷市では1921(大正10)年創業の老舗そば店「わたや」の平沢店(平沢1)を訪れ、名物の「へぎそば」を味わった。小学生の頃に親戚と同店を訪れて以来、へぎそばが大好物だという。

 小千谷縮ののり付けに用いられる布海苔ふのりが、そばの「つなぎ」に使われ、コシの強さが特徴だ。「へぎ」と呼ばれる四角い木の器に、一口大に丸めて盛り付けられている。

 たっぷりと海苔が盛られたそばを見て「おいしそう」と一言。一口すすると、「独特な喉越しで、つるつる感が本当にいい」。続けて頰張った。

大好物のへぎそばに目を輝かせる=小千谷市平沢1

大好物のへぎそばに目を輝かせる=小千谷市平沢1

 長岡市の酒造会社、吉乃川の酒ミュージアム「醸蔵」(摂田屋4)では、日本酒やクラフトビール、甘酒などを試飲できるバーの雰囲気を味わった。

 ここでしか飲めない純米大吟醸の日本酒がある。味わいを安定させるための加熱殺菌をせず、搾りたてのフレッシュな状態を味わえる。注がれた1杯に「フルーティーな良い香り」と驚いた様子。喉を大切にするため飲酒は極力控えているそうで、香りだけ楽しんだ。

 「醸蔵で酒の造り方や蔵の歴史を知ってからだと、違った印象で飲めそう。酒どころの出身者として、お薦めできるお酒を持ちたい」と語った。

「醸蔵」では香りを堪能できるようワイングラスで日本酒が提供される=長岡市摂田屋4

「醸蔵」では香りを堪能できるようワイングラスで日本酒が提供される=長岡市摂田屋4

 古くから繊維業が盛んな見附市は、商談や会食の場として日本料理店が使われる機会が多いという。老舗の一つ、割烹かっぽう太田家(新町1)を訪れ、地元の食材などを使った料亭料理を味わった。

 落ち着いた雰囲気の和室で、田楽風にした地元産ナスをはじめ、郷土料理ののっぺ、見附名物メダカのつくだ煮などが並んだ。真っ先にクジラ汁に箸を付け、「家のものにも夕顔が入っていた」と実家の味を懐かしんだ。つくだ煮は「メダカと言われなければ分からない」と、目を丸くして珍味を味わった。

地元産食材などを使った太田家の料亭料理=見附市新町1

地元産食材などを使った太田家の料亭料理=見附市新町1

3市の旅プレイバック 食、文化、自然すべて満喫

 中澤卓也さんに長岡、見附、小千谷の3市を巡る旅で印象に残ったことを語ってもらった。

◇    ◇

 掘れば掘るほど新しい発見、魅力が出てくる旅でした。東京で生活していると、新潟のご飯が恋しくなりますよね。3市にはおいしい食があり、歴史があり、豊かな自然がある。そのことを今まで以上に、多くの人に知ってほしいと思うようになりました。

 長岡では戊辰戦争について学びましたが、以前は長岡藩家老の河井継之助と戦争のイメージしかありませんでした。継之助と周りの人たちには、長岡をよくしたいという思いがあったのだと知りました。結果として戦争になりましたが、先人たちの熱い思いは、長岡に脈々と受け継がれていると思います。

 摂田屋地区では歴史の重み、長年にわたって培われてきた発酵や醸造文化の奥深さを感じました。75年前の長岡空襲の被害を免れたから、建物が残り、産業が残った。摂田屋は長岡にとって、大切な財産の一つではないでしょうか。

 見附ではニットの魅力を再認識すると同時に、多くの工程や人の手を経て見附でしか作れない製品があると分かり、イメージが変わりました。思わず自分用に製品を購入してしまいましたが、これからはもっとファッションに取り入れていきたいです。

 小千谷では小千谷縮の着心地の良さや軽さ、涼しさに驚きました。仕事でよく和装になりますが、同世代の若い人たちにもぜひ、縮の魅力を知ってほしいです。錦鯉の美しさは、育てている人たちの情熱があるからこそですよね。さまざまな種類があることにも驚きました。

 歴史と人の温かさに触れ、魅力をたっぷりと味わう最高の旅になりました。お世話になった皆さん、本当にありがとうございました。

中澤卓也

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