第7弾 佐渡

RYUTist@ジオパーク

<4> 海府

巨岩や洞窟 胸わくわく 伝説生んだ 自然の不思議

新潟日報 2021/10/26

 佐渡のジオパークを巡る旅はいよいよ後半へ。太古の火山活動でつくられた巨岩により迫力ある景色が広がり、多くの言い伝えが残る佐渡北部の海府エリア。RYUTistのメンバー、五十嵐夢羽さん(20)と佐藤乃々子さん(25)がその魅力を訪ね歩いた。

 最初に向かったのは名勝、二ツ亀。環境省の定める「快水浴場百選」にも選ばれ、海水は地質や海流の関係で島内随一の透明度を誇る。透き通った海と、二ツ亀の柔らかい曲線美に癒やされ2人の旅が始まった。

2匹の亀がうずくまるように見える二ツ亀。潮の満ち引きによって道が現れ、歩いて渡ることができる。右から五十嵐夢羽さん、佐藤乃々子さん=佐渡市鷲崎

2匹の亀がうずくまるように見える二ツ亀。潮の満ち引きによって道が現れ、歩いて渡ることができる。右から五十嵐夢羽さん、佐藤乃々子さん=佐渡市鷲崎

 堂々とした姿が、人々を圧倒する大野亀へとやってきた。何千万年も前に地中で溶岩が固まり、波や風雨によって地上に露出。高さ167mの1枚の巨岩だということに2人は「この大きさで一つの岩なんですか!?」と驚きを隠せない。

雄大な姿を見せる大野亀。初夏にはトビシマカンゾウの黄色い花が一面を鮮やかに彩る=佐渡市願

雄大な姿を見せる大野亀。初夏にはトビシマカンゾウの黄色い花が一面を鮮やかに彩る=佐渡市願

 続いて向かったのは、数々の伝説が残る岩谷口の海食洞かいしょくどう。岩壁に波音が反響して岩山から音が聞こえる「響岩ひびきいわ」の前に立った。優しい波音が岩から鳴る不思議に、五十嵐さんは「実際に来て体感してほしい」と勧める。

高い岩壁が波音を反響させる岩谷口の響岩。しばらく足を止め、やさしい波音に聞き入った=佐渡市岩谷口

高い岩壁が波音を反響させる岩谷口の響岩。しばらく足を止め、やさしい波音に聞き入った=佐渡市岩谷口

 岩谷口にある二つの洞窟には竜が訪れたという伝説や、弘法大師が投げた筆が岩に文字を刻んだという言い伝えが残り、お堂や石仏が建てられている。佐渡ジオパークガイド協会会長の池 善世ぜんせいさん(70)は「人間の理解を超えた自然がつくりだしたものは、信仰の対象になったり伝説が残ったりしている」と説明してくれた。

波によって削られてできた岩谷口の海食洞。奥には竜が訪れたという「竜眼の池」がある=佐渡市岩谷口

波によって削られてできた岩谷口の海食洞。奥には竜が訪れたという「竜眼の池」がある=佐渡市岩谷口

 風穴群で有名な寒戸崎さぶとざきにやってきた。積み重なった大岩に波が打ちつけられ、すき間から時折冷たい風が吹く。突然吹き出す風に驚く2人に「風穴には人を化かし、神通力を使ったという佐渡の狸四天王の1匹、寒戸狸が住んでいたそうですよ」と池さんは笑う。

寒戸狸が住んでいたと伝わる風穴。冷たい風を感じる。右はジオパークガイドの池善世さん=佐渡市関

寒戸狸が住んでいたと伝わる風穴。冷たい風を感じる。右はジオパークガイドの池善世さん=佐渡市関

 旅の終わりは岩谷口からほど近い絶景ポイント、跳坂はねざかへ。佐藤さんは「自分の足で巡ることで、佐渡の人たちが自然を敬う気持ちを理解できた」と、外海府の美しい海岸線を眺めた。

外海府南部の海岸線を一望できる跳坂からの眺め。美しい海と壮大な山の景色が広がる=佐渡市岩谷口

外海府南部の海岸線を一望できる跳坂からの眺め。美しい海と壮大な山の景色が広がる=佐渡市岩谷口

◆動画投稿サイト「ユーチューブ」の「未来のチカラチャンネル」では、RYUTistの佐渡ジオパークの旅が動画で見られます。

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