第7弾 佐渡

RYUTist@ジオパーク

<5> 小木半島

生活支える火山の痕跡 湧き水や石畳 工夫に感慨

新潟日報 2021/10/28

 アイドルグループRYUTistが佐渡のジオパークを巡る旅は、いよいよ大詰め。宇野友恵さん(22)、横山実郁さん(19)が、佐渡市南西部の小木半島を回った。

 大昔、海底火山が活発に活動し、海中に溶岩などが流れ出た。溶岩は何重にも積み重なり、小木半島の土台になった。その後の巨大地震でその土台が押し上げられ、現在の小木半島になったというわけだ。

元小木地区の隆起波食台。奥に見える「矢島・経島」は元々は独立した二つの島だったが、1802年の地震でつながった=佐渡市元小木地区

元小木地区の隆起波食台。奥に見える「矢島・経島」は元々は独立した二つの島だったが、1802年の地震でつながった=佐渡市元小木地区

 「小木半島の原点となった火山活動の痕跡を、生活に生かしてきたのが小木の人々なんです」。佐渡ジオパークガイドの祝 雅子さん(64)が解説する。

 最初に向かったのは、元小木地区にある湧き水。弘法水とも呼ばれる。太古の火山活動の影響で今も水が湧いている。小木半島にはこうした湧き水が多いのだとか。大きな河川がない小木半島では、大切にされてきたという。

「弘法水」と呼ばれる湧き水の前で祝雅子さん(左)の説明を聞く横山実郁さん(中)と宇野友恵さん=佐渡市元小木地区

「弘法水」と呼ばれる湧き水の前で祝 雅子さん(左)の説明を聞く横山実郁さん(中)と宇野友恵さん=佐渡市元小木地区

 観光名所ともなっている宿根木の町並みを歩いた。廻船かいせん業で栄えた宿根木は、迷路のような路地に民家が密集する。

 趣ある町並みにも、火山活動の痕跡が生かされている。石畳などには、火山活動で形成された「水中火砕岩」が使われている。比較的軟らかく人の力で掘り出すことができる。「昔の人たちは、大地の力を生かして工夫して生活していたんですね」。2人は感慨深そうに語った。

趣ある宿根木の町並みを歩く横山実郁さん(左)、宇野友恵さん。石畳の多くに水中火砕岩が使われている。ややくぼんでいるのは、水中火砕岩の軟らかさによるものだという=佐渡市宿根木地区

趣ある宿根木の町並みを歩く横山実郁さん(左)、宇野友恵さん。石畳の多くに水中火砕岩が使われている。ややくぼんでいるのは、水中火砕岩の軟らかさによるものだという=佐渡市宿根木地区

 小木半島では、隆起や波などの浸食が繰り返されてできた「隆起波食台りゅうきはしょくだい」と呼ばれる地形が見られるのも特徴だ。沢崎地区の隆起波食台は1802年の地震で隆起し、現在の形になった。元小木地区にも隆起波食台がある。

1802年の地震で隆起した沢崎地区の隆起波食台。波打ち際のちょうど良い高さのため岩ノリも採れるという=佐渡市沢崎地区

1802年の地震で隆起した沢崎地区の隆起波食台。波打ち際のちょうど良い高さのため岩ノリも採れるという=佐渡市沢崎地区

 他にも、民話にもなった「犬岩」など多くのスポットを回り、宿根木の「よしかわ屋」では、小木名産の「いももち」などを味わった。数億年にわたる大地の動きがつくり上げた佐渡の壮大な景色を楽しんだメンバーたち。横山さんは「金銀山だけじゃない佐渡の歴史を発信したい」、宇野さんは「たくさんの人が来て感じてほしい。自分ももっと勉強してPRしたい」と笑顔で語る。佐渡の魅力を改めて感じた旅だった。

(左)海を見詰めているように見える「犬岩」。民話の題材にもなっている=佐渡市犬神平地区<br>(右)名産の「いももち」を手に笑顔の宇野友恵さん(左)、横山実郁さん。農閑期にサツマイモを使って作られた保存食だ。2人は「いもようかんみたい」と声が弾む=佐渡市宿根木の「よしかわ屋」

(左)海を見詰めているように見える「犬岩」。民話の題材にもなっている=佐渡市犬神平地区
(右)名産の「いももち」を手に笑顔の宇野友恵さん(左)、横山実郁さん。農閑期にサツマイモを使って作られた保存食だ。2人は「いもようかんみたい」と声が弾む=佐渡市宿根木の「よしかわ屋」

 旅の終わりは岩谷口からほど近い絶景ポイント、跳坂はねざかへ。佐藤さんは「自分の足で巡ることで、佐渡の人たちが自然を敬う気持ちを理解できた」と、外海府の美しい海岸線を眺めた。

◆動画投稿サイト「ユーチューブ」の「未来のチカラチャンネル」では、RYUTistの佐渡ジオパークの旅が動画で見られます。

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