緑あふれる山々や美しい清流に恵まれた魚沼地域には、豊かな自然を堪能できる体験型のスポットがたくさんある。厳しい暑さに負けず、夏まっただ中の魚沼を最大限に楽しもう。その道の「達人」たちに極意を聞いた。
「安全に、楽しく、癒やされて」をモットーに豊かな自然が残る秋葉山を案内する高橋正明さん=湯沢町
「おっ、アキノキリンソウが咲き始める季節になりましたね。秋の花ですよ」。JR越後湯沢駅に近い、湯沢町の秋葉山の登山道中腹。エコツアーガイドの高橋正明さん(74)=同町湯沢=が、首都圏からのツアー客を前に、小さな黄色い花を指さした。
春はカタクリ、夏はカリガネソウ、秋はノコンギク…。豊かな自然が残る湯沢町の里山では、季節ごとにさまざまな山野草に出合うことができる。高橋さんによると、湯沢には約790種類の山野草が自生する。
仙台市出身。40年ほど前、妻の出身地の湯沢町に移り住んだ。それまでは都市部で過ごした高橋さん。「来てすぐに里山のかれんな山野草に癒やされ、豊かな自然に魅了されてしまいました」と振り返る。
妻の実家の写真店で働きながら、山野草の撮影や調査に取り組んだ。還暦を過ぎてから森林インストラクターの資格を取得、ツアーガイドを本格的に始めた。
ガイドの際は、自分が撮影した写真を掲載する山野草図鑑や植物の標本、ルーペなどを使い、分かりやすくその魅力を伝える。
高橋正明さんが里山を案内する時に持参する植物の標本や木の実、ルーペ、山野草の図鑑。初心者にも分かりやすく、興味を引きつけようと活用している
高橋さんによれば、山野草巡りを楽しむには「五感を使うこと」が大切だそうだ。「花ごとに異なる香りを楽しんだり、優しく触れて感触を楽しんだりしてほしい。写真を撮って後で名前や特徴を調べれば、さらに興味が湧いて世界が広がっていくと思いますよ」
ツアー客が喜んで帰る姿を見るのが、何よりの励みだ。「都会での生活に疲れた時など、気軽に遊びに来てほしいですね」と目を細めた。
高橋正明さんが代表を務める湯沢里山クラブでは、山野草などが楽しめるエコツアーを催行している。秋葉山などを散策する「里山歩き楽々コース」のガイド料は、1人8000円(4人以上なら1人2500円)。問い合わせは高橋さん、025-785-5526。