「来たっ!」。達人の声が響く。しなる竿先。水面をはねながら姿を見せた魚体は、吸い寄せられるようにタモ網へと収まる。
魚沼市、南魚沼市、湯沢町を流れる魚野川とその支流では、アユ友釣りシーズンが真っ盛りだ。桑原貞雄さん(69)=魚沼市佐梨=は魚野川のほか、支流の佐梨川をホームグラウンドにしている。
ホームグラウンドの佐梨川でアユを釣り上げる桑原貞雄さん=魚沼市佐梨
友釣りは、アユが自らの縄張りに侵入した他のアユに体当たりする習性を利用した漁法で、おとりアユが使われる。「魅力はアユが掛かった瞬間の引きと、タモ網に入れる時の感触だね」とほほえむ。
釣り歴は半世紀を超える。中学1年生の時、漁師と農家を兼業していた父と一緒に、春ヤマメを釣ったのがきっかけ。友釣りは高校生から始めた。それからも、市役所に勤務の傍ら、釣行を続けた。
2010年に退職後は、同市や湯沢町で開かれた釣り大会でたびたび優勝。釣り具メーカーが主催した今年の全国大会では、7月の上信越地区予選を突破し、8月4日に栃木県で開かれた東日本ブロック大会まで進出した。
上達のコツは「いろいろな解説書を読み、インストラクターのDVDを見ること」。座学に加え、現場では「おとりアユの販売所で、最新の情報を集めることが大切」と力説する。経験を積むと、時間帯や川の状態により、アユが潜むポイントが分かるようになるという。「体が動く限りは無理をせず、釣りを続けたい」と意欲を語る。
遊漁券の問い合わせは魚沼漁業協同組合まで。025-792-0261