第2弾 魚沼

魚沼 酒人考

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<5> ストレンジブルーイング(南魚沼市)
佐藤 雅史工場代表(45)

味にこだわり酵母を培養 地域に根ざす商品も

新潟日報 2019/09/20

 南魚沼市黒土新田の民家1階にある小さな醸造所。「ストレンジブルーイング」の名前で高品質なクラフトビールを製造している。広さ約30平方メートルの店舗兼工場では、工場代表を務める佐藤雅史さん(45)ら2人が働く。

「新鮮な酵母を自社培養し、クオリティの高いビール作りを目指す」と語る佐藤さん=南魚沼市黒土新田

「新鮮な酵母を自社培養し、クオリティの高いビール作りを目指す」と語る佐藤さん=南魚沼市黒土新田

 ストレンジブルーイングは2014年、ビール造りを開始した。黒土新田の出身で、東京・両国にビアパブ「麦酒倶楽部ばくしゅくらぶポパイ」を立ち上げた、青木辰男さん(67)が別荘を兼ねた醸造所として建設した。

 都内で働いていた佐藤さんはポパイの客で、青木さんから醸造所運営を打診された。妻が魚沼市出身でもあったことから、勤めていた会社を辞め、立ち上げから関わっている。

 佐藤さんは「うまいビール造りの決め手は酵母だ」と強調する。味わい深いクラフトビールを醸造するため、10種類以上の自家培養酵母を使う。国内のクラフトビールメーカーで、自家培養酵母を使って醸造している社は10社程度しかないという。

 自家培養した酵母だけに新鮮なものだ。佐藤さんは「高い品質の酵母を、醸造ごとに使っている」と胸を張る。香り付けには、目の前の畑で栽培したホップも使う。

 味わい深いペールエールや香りと苦みが強いIPA(インディア・ペールエール)が主力商品。また清酒蔵の米麹こうじやソバ、ハチミツなど地元産物を副原料に使った商品も人気だ。

ストレンジブルーイングの主力銘柄

ストレンジブルーイングの主力銘柄

 1994年に政府の規制緩和策で製造解禁となった地ビール。当初は、次々と醸造所が登場したが、ブームは長くは続かなかった。

 近年、クラフトビールは静かな人気を呼ぶ。魚沼エリアでも醸造所が増えつつある。ファン拡大を狙い、佐藤さんが中心となり毎年、北越急行でビール列車を走らせるイベントを開く。

 佐藤さんは「かつてのブームがすぐに下火になったのは、品質に問題があったから。醸造所が増え、切磋琢磨せっさたくますることで、多彩な味のクラフトビールが楽しめる時代になった」と語った。

 (長岡支社・藤井直人)

ストレンジブルーイング 「麦酒倶楽部ポパイ」の運営会社「シンポ企画」の工場として2014年に醸造開始。城戸弘隆社長。南魚沼市黒土新田79-5。025-775-7333。

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