上越と北陸をつなぐ「加賀街道(北国街道)」を海沿いに伝い富山県境を目指した。車や列車なら短時間だが、せっかくなので路線バスを乗り継ぎ行楽地にもできるだけ寄り道しながらの移動に挑戦した(太字は乗車したり降車したりしたバス停名)。
午前8時台の頸城自動車バス(名立線)で直江津駅南口から名立車庫前へ。バス停から歩いて20分ほどの鳥ケ首岬灯台に登ると、眼下に旧名立町の市街地が見渡せる。
鳥ケ首岬灯台からの眺め。奥に「うみてらす名立」が見える=上越市名立区
高台を下りてゆっくり歩く途中には歴史を感じさせる寺社が。漁港の雰囲気はあまりない?などと思っていたら、たどり着いた「うみてらす名立」で大量の魚に出迎えられた。
行楽客でにぎわう観光施設。「一番人気は港に揚がる魚を盛った地魚漁師丼」と丼ものが売りの「八千代」の女将松井洋子さん(62)。魚市場のほか温浴施設の「名立の湯 ゆらら」も評判だ。
うみてらす名立前午後0時28分発(能生線)でマリンドリーム能生へ。ここも人気の「道の駅」で、駐車場を埋める車のナンバーは富山、長野に留まらず金沢、福井、神戸など北陸や関西方面も。
お目当てはベニズワイガニの直売。長野県安曇野市から大型観光バスで来た男性(80)は「今はどこでも食べられるけれど、やっぱり海の近くがいい」と笑顔。カニ直売ほどではないけれど、海洋高の元練習船「越山丸」の展示も人気。土産物売り場には生徒発案の魚醤「最後の一滴」も。
にぎわうマリンドリーム能生の「かにや横丁」=糸魚川市
糸魚川バス午後1時33分発(仙納線)で能生案内所へ。次のバスまでに白山神社、弁天岩に足を伸ばす。
続いて目指したのは糸魚川市のバスターミナル糸魚川総合病院(能生糸魚川線)。接続が格段に増え、巡回バスで糸魚川駅日本海口に午後4時前たどり着く。駅前通りにはためく「日本海に一番近い新幹線駅」ののぼりに従うように、歩いてすぐの「大町展望台」へ向かった。
大町展望台からの眺め=糸魚川市
この日「海の町」を巡って何度も目にした日本海-。恐らくずっと変わらずにあった大海原を振り返るとそこには、2年半前の大火から懸命に復興する新しい街並みが広がっていた。
(糸魚川・海編は本社報道部・吉岡和彦記者が担当します)