第1弾 上越地域

気ままに道めぐり

<4> 加賀街道バスの旅 ~糸魚川・海編(下)~

「宝物」あふれる県境 輝くヒスイ、食、天下の険...

新潟日報 2019/06/14

 糸魚川駅から富山県境を目指す。糸魚川駅からのバスは旧青海町中心部までで、その先は「青海地域コミュニティバス」が毎週金曜のみ運行されている。その出発点の「きらら青海」を目指し、午前8時45分発の大沢行き(青海糸魚川線)に乗った(太字は乗車したり降車したりしたバス停名)。

 乗り継ぎ時間を考えて新寺地で降り「ラベンダービーチ」へ。澄んだ海とラベンダー色のヒスイが見つかることで知られる海岸だ。

 平日の朝、誰もいない海岸を歩いていると遠くで人影が。近づいてみると男性(61)が、波打ち際を、棒の先に付けた熊手で探りながら歩いていた。ヒスイを取りに神戸市から2泊3日で来ているという。「去年も来て、二つ見つけましたよ」。今年も成果を上げようと意欲いっぱいだ。

ラベンダービーチでヒスイを取る男性=糸魚川市

 石の浜辺を自分も下を向いて歩き、青海駅周辺の市街地を通りきらら青海前へ。11時27分、コミュニティーバスに乗り、程なくピアパーク入口に。

 高速道路高架下を利用した道の駅「親不知ピアパーク」は県外からのドライブ客でにぎわう。平日のおすすめはレストラン漁火(いさりび)の日替わりランチ500円。海の幸いっぱいの丼や定食が味わえる。隣の市場には目の前の港に揚がったカニや名物の塩もずくが並ぶ。

親不知ピアパークのレストラン漁火の日替わりランチ。この日はマグロ丼=糸魚川市

 午後1時23分、再びコミュニティーバスで親不知観光ホテル前へ。ここを降りると午後4時すぎの最終までバスはない。時間がたっぷりあるので付近をゆっくりと巡ってみた。

 親不知コミュニティロードは「天下の険」と呼ばれた街道の変遷が分かる散策路だ。途中のがけの階段を下りて旧北陸本線レンガトンネルへ。入り口に用意された懐中電灯を手に670メートルを歩くのはちょっとしたスリリング体験だ。

コミュニティロードの下にある親不知レンガトンネル=糸魚川市

 最終バスに乗り、10分ほどで終点玉の木にたどり着く。近くの道の駅「市振の関」には本県最西端のコンビニがある。ここのちょっと変わった名物はカップ麺のセット。銘柄は同じでも関東圏、関西圏でスープが違う商品が一緒に売られている。「この前もテレビ局に取材されました」と平野義郎代表。薄味の西バージョンは代表が富山県で買ってくる。

 県境の境川は歩いてすぐ。海沿いに上越・糸魚川の町をたどってきた道は、ここから西日本に続いている。

<バス路線メモ>
青海地域コミュニティバスは13人乗りのミニバスが、玉の木方面が1日4本、きらら青海前方面が同3本走っている。運賃は1回の乗降につき100円。金曜だけの運行で乗り換えには最大2時間半以上かかるので、通常の観光ならばタクシー会社や糸魚川市観光協会のツアーなどが便利(親不知コース、2時間6000円~など)。

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