
新潟県教育委員会教育長
稲荷 善之
グローバル化や情報化が進む社会において、次代を担う子どもたちの生きる力を育むためにつくられた新学習指導要領は、昨年度から小学校、今年度から中学校において全面実施され、来年度からは高等学校において年次進行で実施されます。新学習指導要領では新しい時代を見据え、生きて働く知識・技能の習得、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成、学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性の涵養を目指しています。社会の変化が加速度を増し、複雑で予測困難となってきている中、新しい時代の課題を取り扱い、目指す資質・能力を育成するために、あらゆる分野の最新の情報や現代の社会問題を掲載している新聞を教材として活用することは有効な手段の一つです。
新聞には、教科書では捉えきれない最新の社会の動向や地域の様々な情報が即時に掲載されています。また、専門家や記者による多面的な分析や解説、意見などもあり、これらを学校の授業において教材として用いることは、子どもが社会への関心を高め、見方や考え方を広げ深めることにつながります。
これまでのNIEの実践からは、読解力や情報処理能力、多面的・多角的に考察し判断する力、情報を適切に選び取りわかりやすく伝える力などが身につくと報告されています。
また、新学習指導要領では、情報及び情報手段を主体的に選択し活用していくための基礎的な力として情報活用能力の育成を図ることも示されました。インターネットなどの大量の情報に囲まれ生きていく現代においては、課題や目的に応じて情報手段を適切に活用する力、必要な情報を主体的に収集・判断・処理する力、受け手の状況などを踏まえて発信・伝達する力などの育成が必要です。複数の新聞を比較したり記事を題材にして検討したりするNIEによる学習は、これらの力の育成にも効果があると考えます。
このような様々な効果が期待できるNIEの取組は、本県においては1993年に設立した本協議会により推進され、総合的な学習の時間や社会科、国語科などで多くの実践が積み重ねられてきました。今後もより一層魅力的な実践がなされ、広く発信されることを期待しています。
※11月から始まるNIE実践・研究委嘱校研究会を前に、稲荷善之教育長より寄稿していただきました。