新潟日報社人事ポリシー
新潟日報社は創業140年を機に、「新潟の未来を、県民とともに切り拓く」企業として求める人材像を「新潟日報社人事ポリシー」として策定した。時代に即し、社のあるべき将来像を追求し社会的使命を果たすための社員の基本的姿勢を示したものである。地方では、少子高齢化や人口減少が加速している。日本の安全保障は大きな曲がり角を迎え、戦後70年以上にわたって維持してきた平和の姿が揺らいでいる。インターネット時代の進展により社会と情報環境のありようは激変している。今ほど地方、民主主義、ジャーナリズムの意義が問われる時はない。新潟日報社は、あくまで地方に立脚し発信する「地方紙主義」、知る権利を守るジャーナリズムへの「原点回帰」、誠実に職務に向き合う「自由と責任」の三つを柱に、新潟への貢献と前進を誓う。
地方紙主義
わがともよ よきふみつづれ ふるさとの みづたのあぜに よむひとのため
会津八一は戦後、新潟日報社が設立した夕刊新潟社の社長に就任し、その折にこの歌を詠んでふるさと新潟のために働く決意を社員に求めた。歌に流れる精神は、地方紙主義とも言うべき一つの思想であり、新潟日報社が依って立つ場所である。社員はその決意に責任と誇りを持ち次代につないでいく。
新潟県民は度重なる災害に苦しめられ、その都度立ち直ってきた。加えて拉致問題、原発問題をはじめとして生活と安全に直結する重い課題に日々向き合っている。社員は常に県民に寄り添って喜怒哀楽を共にし、無責任な傍観者にならない。県民への奉仕を最優先に考えて地域に貢献する姿勢を明確にし続けることで、信頼される企業としての基盤を確固たるものとする。
原点回帰
社員は、県民の「知る権利」を守り自由で平和な社会の発展を目指すというジャーナリズムの原点に立つ。理不尽な暴力や圧力に対しては毅然として戦う。異なる価値観や少数意見を排除する風潮、数の力で自らの考えを押し通そうとするやり方にはくみしない。そのために研さんを怠らず、高い見識と広い視野を持ち、先を読む力を磨いて時流の先頭を見据え、常に進歩と創造を心掛ける。憲法が定める言論と表現の自由の下、いかなる権力からも独立した報道機関、新聞人、企業人であり続けるために、経営の強化を不断に進める。
自由と責任
社員は、報道、論評、表現の自由の行使には、表裏一体の重い責任が伴うことを自覚する。仕事の全てにわたって誠実と公正の態度を貫く。常に人権を尊重し、あらゆる差別を拒否する。インターネット社会が進展し個人の発信が一般的になるにつれ、新たな人権侵害や差別が発生するとともに既存マスメディアへの視線はますます厳しくなっている。県民から寄せられた信頼を裏切ることがないように、厳しく自らを律する倫理観、品格、良識を備えなければならない。
<付則>
新潟日報社は50年前の1967年に社是、信条を定めた。社員は、社是、信条に掲げた理念を変わらずに大切にするとともに、その精神を受け継ぎながら時代に対応していくために人事ポリシーを新たな指針とする。
一、自由・独立
一、進歩・創造
一、誠実・公正
一、高い見識と広い視野に立つ
一、時流の先頭を進む
一、責任と誇りを持つ
一、傍観者にならない
一、県民への奉仕に徹する
採用における人事ポリシー
新潟日報社人事ポリシーを基に、新潟日報社が採用にあたって希望する人材像を採用ポリシーとして示す。
粘り強く、しなやかである
行き過ぎた情報保護、人権を理由にした取材規制など、メディアを取り巻く環境は厳しさを増している。ジャーナリズムの原点というべき平和、民主主義、言論の自由を守り、権力からの「自由・独立」を貫くためには「くじけない」「あきらめない」タフな精神が必要だ。豪雪に耐えた木々が雪解けとともにまっすぐ枝を伸ばすように、どんな逆境にも負けない粘り強さと、日々新たな試みに挑戦するしなやかさを持った人材を求める。
人とつながる力を持っている
デジタル機器の普及でコミュニケーションのあり方が変化したと言われるが、新聞人が携わるいずれの業務も人とつながるコミュニケーション能力なくしては成立しない。相手が何を思い、何を伝えようとしているのか、真摯な態度で聞き、的確に対応できる能力が欠かせない。人と人の信頼、つながりはそこから生まれる。組織内においては一緒に仕事をしたいと感じる、チームとして充実した仕事ができる可能性を持った人材を求める。
新潟を心から愛している
新潟日報社は「新潟県という地域に立脚しその盛衰と命運をともにする」、そして「新潟の未来を、県民とともに切り拓く」企業である。新潟日報社の未来は新潟の未来であり、日本の未来でもある。新潟への愛情や熱い思い、「新潟県の発展に寄与する」という使命感を持ち、常に県民に寄り添いながら、厳しい批判や提言を通じて新潟日報社ならではの社会貢献ができる人材を求める。
<資料編>
新潟日報社綱領
1、新潟日報社は新潟県という地域に立脚し、その盛衰と命運をともにする企業である。
1、新潟日報社は県民が政治、経済、文化の総合的水準を高め、心身ともに豊かな生活を築き、国の内外の進展に寄与するために奉仕する。
1、新潟日報社は平和で民主的な世界を希求し、おごらず、おもねらず、言論、報道の自由を守る。
1、新潟日報社は新潟県情報産業の中核としての地位を堅持する。このため競争力を磨き、経営基盤の充実、従業員の生活水準向上を期す。
1、社内においては常に建設的な議論を喚起し、前進を図る。
新聞倫理綱領
21世紀を迎え、日本新聞協会の加盟社はあらためて新聞の使命を認識し、豊かで平和な未来のために力を尽くすことを誓い、新しい倫理綱領を定める。
国民の「知る権利」は民主主義社会をささえる普遍の原理である。この権利は、言論・表現の自由のもと、高い倫理意識を備え、あらゆる権力から独立したメディアが存在して初めて保障される。新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい。
おびただしい量の情報が飛びかう社会では、なにが真実か、どれを選ぶべきか、的確で迅速な判断が強く求められている。新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によってこうした要望にこたえ、公共的、文化的使命を果たすことである。
編集、制作、広告、販売などすべての新聞人は、その責務をまっとうするため、また読者との信頼関係をゆるぎないものにするため、言論・表現の自由を守り抜くと同時に、自らを厳しく律し、品格を重んじなければならない。
自由と責任
表現の自由は人間の基本的権利であり、新聞は報道・論評の完全な自由を有する。それだけに行使にあたっては重い責任を自覚し、公共の利益を害することのないよう、十分に配慮しなければならない。
正確と公正
独立と寛容
新聞は公正な言論のために独立を確保する。あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない。他方、新聞は、自らと異なる意見であっても、正確・公正で責任ある言論には、すすんで紙面を提供する。
人権の尊重
新聞は人間の尊厳に最高の敬意を払い、個人の名誉を重んじプライバシーに配慮する。報道を誤ったときはすみやかに訂正し、正当な理由もなく相手の名誉を傷つけたと判断したときは、反論の機会を提供するなど、適切な措置を講じる。
品格と節度
公共的、文化的使命を果たすべき新聞は、いつでも、どこでも、だれもが、等しく読めるものでなければならない。記事、広告とも表現には品格を保つことが必要である。また、販売にあたっては節度と良識をもって人びとと接すべきである。
新聞販売綱領
日本新聞協会の加盟社は、「新聞倫理綱領」の掲げる理念を販売の分野においても深く認識し、その実践を誓って、新しい「新聞販売綱領」を定める。
販売人の責務
新聞が国民の「知る権利」にこたえ、公共的・文化的な使命を果たすためには、広く人々に読まれることが不可欠である。新聞販売に携わるすべての人々は、それぞれの仕事を通じ、民主主義社会の発展に貢献する責務を担う。
戸別配達の堅持
新聞は読者のもとに届けられてはじめて、その役割を果たすことができる。新聞がいつでも、どこでも、だれもが、等しく読めるものであるために、われわれは戸別配達を堅持し、常に迅速・確実な配達を行う。
ルールの順守
新聞販売に携わるすべての人々は、言論・表現の自由を守るために、それぞれの経営の独立に寄与する責任を負っている。販売活動においては、自らを厳しく律し、ルールを順守して節度と良識ある競争のなかで、読者の信頼と理解を得るよう努める。
読者とともに
新聞は読者の信頼があってこそ、その使命をまっとうできる。販売に携わるすべての人々は、読者の期待にこたえつつ、環境への配慮や地域貢献など、新しい時代にふさわしい自己変革への努力を続ける。
新聞広告倫理綱領
制定の趣旨
言論・表現の自由を守り、広告の信用をたかめるために広告に関する規制は、法規制や行政介入をさけ広告関係者の協力、合意にもとづき自主的に行うことが望ましい。
本来、広告内容に関する責任はいっさい広告主(署名者)にある。しかし、その掲載にあたって、新聞社は新聞広告の及ぼす社会的影響を考え、不当な広告を排除し、読者の利益を守り、新聞広告の信用を維持、高揚するための原則を持つ必要がある。
ここに、日本新聞協会は会員新聞社の合意にもとづいて「新聞広告倫理綱領」を定め、広告掲載にあたっての基本原則を宣言し、その姿勢を明らかにした。もとより本綱領は会員新聞社の広告掲載における判断を拘束したり、法的規制力をもつものではない。
日本新聞協会の会員新聞社は新聞広告の社会的使命を認識して、常に倫理の向上に努め、読者の信頼にこたえなければならない。
1. 新聞広告は、真実を伝えるものでなければならない。
1. 新聞広告は、紙面の品位を損なうものであってはならない。
1. 新聞広告は、関係諸法規に違反するものであってはならない。
新潟日報記者行動規範(2001年11月1日制定)
新潟県という地域に立脚し、その盛衰と命運をともにする県民の新聞である新潟日報の記者は、県民への奉仕に徹しなければならない。
さらに、真実の追求を任務とする記者の行動は、公正かつ誠実なものでなければならない。中立性を損なう、あるいは損なう恐れのある行為、自らの尊厳性をおとしめるような行為は、新聞の生命である信頼性を失わせる。
そこで新潟日報社は、新潟日報記者行動規範を定め、記者が守るべき職業倫理をあらためて確認する。
一.取材・報道に当たって、常に人権の尊重を心がける。出自や所属によって差別したり、個人の名誉を不当に傷つけたり、プライバシーを不当に侵害したりすることがないよう、最大限の配慮をする。
また、有罪判決が出るまでの被疑者は、法律上、まだ無罪であることに留意する。
一.取材に当たっては、正当かつ妥当な手段によって情報を入手する。自分の身元を偽ったり、取材の意図をごまかしたり、相手の弱みにつけ込んで圧力をかけたりした上での取材は正当とはいえない。
また、社会通念上是認される限度を超えた取材方法はとらない。とりわけ、事件・事故の被害者や家族を取材する場合には、相手が置かれている状況を配慮する。
一.正当かつ妥当な取材を基に、歪曲、ねつ造することなく、正確で均衡のとれた報道をする。裏付けの取れない情報は、慎重の上にも慎重に扱う。
一.情報源の秘密を守ることは、記者として最も重要な倫理的責務である。たとえ司法によって公開を求められるようなことになっても、本人の同意がない限り開示してはならず、そのことによる不利益を甘受しなければならない。
一.他人の著作物などを引用する場合は、出典を明示するなど必要な措置をとる。発言であれ、資料であれ、引用は正確かつ公正に行い、我田引水にならないよう注意する。盗作は、記者として恥ずべき最低の行為である。
一.官民を問わず、報道に影響を与えようとする個人、団体との間には緊張感が必要である。記者として独立と尊厳を保ち、報道の中立性に疑問を持たれるような行動をとらない。
一.情報源からは、いかなる利益をも受け取らない。それは、現に取材対象になっている相手からの利益提供に限らない。
また、報道目的で得た情報は、新潟日報の報道と、それに付随した活動以外には使用しない。
附則
(1)情報提供者との間で、自分だけの判断によって情報源の秘匿を約束してはならない。
(2)取材の現場で、同じ取材をしている他メディアの記者らと、自分だけの判断で、報道する、しないなどの約束をしてはならない。
(3)取材・報道に当たって社外の第三者の指示を受けたり、特定の個人、団体の宣伝や利益のために、事実を曲げて報道したり、自らや家族、親族、知人に、何らかの利益を与えることを目的に報道したりしてはならない。
(4)職務上知り得た情報を、個人的に利用したり、外部へ流したりして、経済的利益を得るようなことをしてはならない。
(5)許可なく、新潟日報の報道とそれに付随した活動以外のために書いたり、講演したり、各種委員などを引き受けたりしてはならない。
(6)取材の現場などでは、社や編集局の報道に関する方針や論議を記録した社外秘文書の扱いに注意し、他メディアの記者らに漏らしてはならない。