第1学年「新聞記事を自分の将来に生かそう」の様子
第2学年「データの分析で読み解く社会と地理(数学科×地歴公民科)」の様子
第3学年「家庭科VS商業科 食品ロスについて考える(家庭科×商業科)」の様子

 11月4日、新潟県立中条高等学校(横堀正晴校長)で、NIE研究発表会が開催されました。研究主題は、「つなげて考える力の育成 ~新聞を使った教科連携授業 と 新聞を自分の未来に生かす視点をもつ取り組み~」です。NIE担当は、研究主任の本間由紀教諭です。

 指導は、新潟県NIEアドバイザーの蟻塚宰子教諭(新潟県立新発田商業高等学校)が、務めてくださいました。

 来賓として、県教育庁高等学校教育課の飯田美穂指導主事、そして、胎内市教育委員会学校教育課の井上正人課長や指導主事の皆さんも参加してくださいました。

 小池智紀教諭と二瓶紗和子教諭による第1学年「新聞記事を自分の将来に生かす視点」の授業では、NIEコーナーの新聞から興味のある記事や自分の将来に生かせる記事を見付けて各自のテーマに沿ってまとめたものを、タブレット端末を用いてグループ内で発表する学習が展開されました。生徒が自分の考えを分かりやすく伝えたり、他の人の発表に対して建設的な意見を述べたりする中で、発表力を確実に高めていく姿が印象的でした。最後まで和やかな雰囲気で授業が進みました。

 冨田暁教諭と石山精哉教諭による第2学年「データの分析で読み解く社会と地理」の授業では、まず、地歴公民科の石山教諭が「最も暑かった今年の夏」、「気候変動は史上最大の詐欺」という対立する視点の2つの記事を生徒に読ませ、温暖化に関する対立する見方の存在を理解させました。その後、数学科の冨田教諭が「温暖化」の定義を確認した上で、温暖化が本当に進行しているのかどうかを調べるため、相関係数を算出する学習を提案しました。生徒は気温変化をグラフ化し温暖化の客観的な進行の度合いを確認していきました。

 本間由紀教諭と保坂和洋教諭による第3学年「家庭科VS商業科 食品ロスについて考える」の授業では、まず、家庭科の本間教諭が、新聞記事で食品ロスの現状を理解させ、自分にできることを考えさせた後、身近な取組を紹介した記事を提示しました。次に商業科の保坂教諭が、新聞記事を用いてマーケティング戦略における機会損失(トレードオフ)に対する企業の取組を提示しました。生徒は「マーケティング戦略」と「食品ロス」について班ごとに話し合う中で、食料問題を両面からとらえ考えを深めていきました。

 全体会における研究主任である本間教諭からの研究概要説明では、研究主題である「つなげて考える力の育成」についての説明がありました。「教科と教科、地域と学び、世の中の出来事と自分の将来」などを別々の事象としてではなく、関係性に気付いたり見付けたりすることで、広い視野で物事を捉えることができる。そのきっかけとして「NIE活動」を位置付けてきたと、これまでの数々の実践をもとに、とても分かりやすくご説明くださいました。

 新潟県NIEアドバイザーの蟻塚教諭からは、まず、各学年の授業についての指導・講評がありました。第1学年の授業は、スクラップを大切にしたところに意味があり、自分とつなげて感想を書いている生徒がいたことを高く評価しました。第2学年の授業は、情報を一面的に理解するのではなく、客観的に理解するためにデータに基づく分析を大切にした点がとてもよかったと評価しました。第3学年の授業は、コンビニやスーパーを例にしたことから、生徒が学びを身近に感じ、学ぶことを楽しんでおり、もっと知りたいという喜びをもっていたと評価しました。最後に、中条高校の研究主題のよさに加え、先生方の取組の素晴らしさを含めて、研究内容や実践を高く評価し、総括しました。