11月28日、新潟市立南万代小学校(石山博之校長)で、NIE研究発表会が開催されました。研究主題は、「知識・技能を生かし、自分の思いや考えを豊かに表現できる子どもの育成【2年次】 ~表現意欲を喚起し、表現のよさを認め広げる学習過程の工夫~」です。NIE担当は、研究主任の田村眸教諭です。
2つの授業の指導は、2人の「新潟県NIEアドバイザー」が担当してくださいました。第4学年は新潟市立大鷲小学校の牛膓昌克教頭が、第5学年は新潟市立両川小学校の中村康教諭が、それぞれ務めてくださいました。「新潟県NIEアドバイザー」とは、NIEの実践経験豊富な方の中で、日本新聞協会から認定された先生のことです。地域の方や保護者など60名をこえる皆さんが参加してくださいました。
第4学年では、駒沢里衣子教諭による体育科(保健領域)「体の成長とわたし~がんばれ!自分応援プロジェクト~」の授業が行われました。思春期の心の変化に伴う悩みなどを、どうやって乗り越えたかについて書かれている新聞の投書記事を読み取る活動を通して、心の変化が起きた時にどのようにしたらよいかを考えさせる授業でした。様々な方法を考える際には、教師が用意した複数の新聞記事や体験談から、読みたい資料を選択して参考にし、気になる部分や参考にしたくなるような部分にマーカーで色を付けたり、書き込みをしたりしながら読み取りました。そして、どんなことを考えたか友だちに説明し合うことによって、思春期の心の悩みを解決する方法を獲得していくという授業でした。
指導者である牛膓教頭は、悩みを抱えるのは自然であるという感情面に焦点をあてた記事、生活習慣や行動で改善できることを示した記事、経験談を扱った記事等、授業者が選択した「記事内容」が妥当であったと評価しました。そして、最初に取り上げた投稿記事による学びの方向付け等を含めた「提示方法」や、記事の中の人物の言葉を引用して「言語化」させたこと等を評価しました。
第5学年では、石田力都教諭による総合的な学習の時間「私たちも主役!あたらしい新潟づくり」の授業が行われました。年間を通して取り組む70時間の大単元で、本時は49時間目でした。これまでに実施したマルシェを振り返らせ、新たな工夫を考えるきっかけとして、石田教諭は2つの新聞記事を活用し、参考にできそうなことを読み取らせ、付箋に記入させた上で、各班で検討させました。よりよいマルシェにするための工夫を共有し、新たな考えを練り上げていきました。
指導者である中村教諭は、まず「情報が加わると、想いは変わり、行動が変わる」ということを、例を用いながら説明しました。そして、本時において、新聞記事によって新たに加わった情報により、子どもたちの想いが変わったから、新たな工夫がたくさん出てきたのだと具体的な児童の姿を基に評価しました。
全体会では、研究主任の田村教諭から、日常的に行ってきた学年部別のNIEの取り組みや、NIEの全体研究における本日の提案授業の位置付けが、非常に分かりやすく紹介されました。
全体指導では、南万代小学校の担当NIEアドバイザーである牛膓教頭が、自分の意見を整理し互いの考えを比較しながら学びを深める姿、対話により互いに価値観を交流する姿、自己の考えを更新する姿など、子どもの学びの姿を称賛されました。そして、それらを思考の可視化と話し合いによって結び付け、深い学びを成立させた南万代小学校の取組を高く評価しました。
