函館市立南茅部中学校生徒とのオンライン会議の様子
本時の振り返り発表の様子
グループ協議の様子

 12月5日、上越市立中郷中学校(山岸賢一校長)で、NIE研究発表会が開催されました。研究主題は、「自ら学び、考え、行動する生徒の育成 ~新聞を活用した活動を通して~」です。NIE担当は、研究主任の小林保子教諭です。

 授業の指導は、東洋大学中平一義教授と「新潟県NIEアドバイザー」の柳澤淳教頭(上越市立雄志中学校)にお願いいたしました。「新潟県NIEアドバイザー」とは、NIEの実践経験豊富な方の中で、日本新聞協会から認定された先生のことです。また、中平教授は、昨年度まで上越教育大学におられ、新潟県NIE推進協議会の委員にもなっていただいておりました。

 さらに、上越市教育委員会早川義裕教育長、学校教育課平井恵理指導主事をはじめ、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)の委員、保育園、社会福祉協議会、小学校、中学校中等教育学校、上越教育大学教職大学院等、様々な立場から約40名の皆さんが参加してくださいました。

 松井和子教諭、長瀬克也教諭による総合的な学習の時間「防災について考え、地域に貢献しよう」の授業が、第3学年で行われました。本時では、函館市立南茅部中学校生徒とオンラインで意見交流を行いました。中郷中学校と南茅部中学校では、それぞれ「高齢者と災害」をテーマに新聞作りを行ってきました。本時の前までに、お互いが作成した新聞を交換し、質問したり議論したりしたいことを考えて本時に臨みました。本時での意見交換を通して、記事に表れていない他地域の情報や思いに気付き、自分の地域の課題解決に生かそうとする意欲を高めることを目指した授業でした。「高齢者施設の入所者を避難させる際、誰がどのように避難させるのか」「高齢者施設から避難所までの距離」「具体的な避難方法はきまっているか」「移動手段はどのように考えられているか」など、質問が活発に飛び交い、新聞に表しきれなかった情報を獲得し合っていました。

 全体会では、取り組んできた実践をもとに、「研究の概要」が小林研究主任から分かりやすく説明されました。また、NIEに取り組んできた成果として「全国学力・学習状況調査」の結果を全国平均と比較したり、独自の意識調査を実施したりして、「伝える力」「読む力」「要約する力」等の向上の自己認識を含めて、NIEの有効性が分かりやすく示されました。

 グループ協議では、「新聞づくりと交流活動は、課題発見や情報収集、情報発信に有効だったか」について協議されました。「本時のような他校との交流は、情報の収集発信に有効なだけでなく、生徒の主体性を伸ばす」「新聞づくりは、情報を正確に収集し、さらに情報を読み解く力を伸ばす」「オンラインで他校と交流する際に、議論をさらに深める方法」「想定される災害が、同じ場合と違う場合の議論について」等、多岐にわたる話題が出されました。

 指導者である中平教授は、「新聞をつくる効果」として、「①事実の重要性に気が付く」「②何を誰に伝えるのかという相手を意識する」「③メディアの特性を理解する」「④情報を読む目が養われる」という4点を列挙し、中郷中学校の取組を高く評価しました。さらに、「新聞社や教育委員会をはじめ関係諸機関とともに、他の都道府県には見られないほど密接に連携した活動を行っている」と、新潟県NIE推進協議会の活動を評価してくださいました。