
藤蔭静樹について「文学芸者と称されるほどの知性を備えていた」と語る江畑忠彦さん=東京都葛飾区
文豪永井荷風をめぐる謎に迫ったノンフィクションが出版された。子どもがいた記録がない荷風に本当は実子がいたのではないか-。そのミステリーを追い、半年足らずの結婚生活を送った新潟市古町出身の舞踊家、藤蔭静樹(ふじかげ・せいじゅ)との愛と葛藤を描く。
「荷風 静樹 愛と離別」として共同通信社の元編集局長、江畑忠彦さん(78)=東京都葛飾区=が執筆した。荷風の作品や、まつわる評論の数々を探っただけでなく、孫とみられる女性に会い、荷風の実の子に近づいていく。
きっかけは新潟日報メディアシップ(新潟市中央区)にある「にいがた文化の記憶館」で耳にした「遺族」という言葉だった。静樹の遺族が訪ねてくることがあ...
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