31日投開票の第49回衆院選は終盤に入った。新潟では全県的に自民党候補と野党共闘候補が激しく競る中、28日には自民総裁の岸田文雄首相が公示後初めて新潟県を訪れ、新潟市中央区で自民候補への支持を訴えた。一方の野党側も同日、立憲民主党の岡田克也元副総理が同市江南区の街頭などで応援のマイクを握った。これまでに各党の党首級や閣僚経験者ら「大物」が相次いで来県しており、本県でのアピール合戦が過熱している。

 「この大激戦。皆さんの力で何としても勝利に押し上げていただきたい」

 JR新潟駅南口広場で28日に開かれた自民の街頭演説会。1~4区の自民候補の応援に駆けつけた岸田首相は広場を埋めた聴衆に支持を呼び掛けた。

 県内の自民は2017年の前回選、小選挙区で野党共闘候補に2勝4敗と負け越した。党としての雪辱がかかる今回、続々と来援する大物弁士の顔触れにも力の入り方がうかがえる。

 党の実力者で「3A」と称される安倍晋三元首相、麻生太郎副総裁、甘利明幹事長は選挙戦中盤の24日までにそれぞれ本県入り。3、4、6区など激戦区で街頭に立ち、野党共闘を「野合」と批判し、自公連立政権の継続を訴えた。

 26日には、総裁選で岸田首相と争い、知名度が高い河野太郎広報本部長も1、3区でてこ入れを図った。閣僚、閣僚経験者らも相次いで来県している。

 対する野党共闘勢力も次々と大物を投入する。28日には、民主党政権で副総理や外相を歴任した、立民の岡田克也常任顧問が3、4区に入った。

 「この選挙で与野党の議席が伯仲するところまで持って行けば、政治は大きく変わる」。緊張感のある政治を取り戻すため、野党の議席数を伸ばす必要があると主張した。

 「全国有数の激戦区。心配で心配で応援に来た」。27日には立民の野田佳彦元首相も3、4区に駆けつけた。他にも福山哲郎幹事長や蓮舫代表代行ら党幹部らが激戦区を中心に訪れ、応援のマイクを握った。

 県内5小選挙区で立民などと共闘を組む共産党の志位和夫委員長も26日、JR新潟駅前で「ここまで本気の共闘態勢で総選挙に臨むのは初めてだ」と強調。国民民主党の玉木雄一郎代表は25日、燕市で自民政権を批判し「うそ偽りの政治は続けない」と訴えた。

 一方、新潟1区に候補を擁立した日本維新の会の松井一郎代表も20日に来県し、大阪での行財政改革の実績をアピールした。

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