【2021/08/02】

 一時は開催が危ぶまれた東京五輪が開幕した。しかし、ここサンパウロの街は盛り上がりを欠いている。

 フランスの大手市場調査会社が5月下旬~6月初旬、世界28カ国の約2万人を対象に東京五輪についての世論調査を実施した。その結果、開催に反対と答えたのは韓国80%、日本78%。ブラジルも68%に上った。

 ブラジル人が東京五輪開催に反対するのは二つの理由があるようだ。一つは新型コロナウイルス。パンデミック(世界的大流行)の中でブラジルの感染者数は世界3位。今も連日5万人もの感染者が出ている。

 もう一つは、前回のリオ五輪の「失敗」だ。経済効果はほとんどなく、残されたのは赤字財政と使い道のない施設、そして汚職という負の遺産(レガシー)しかない。リオ州政府、リオ市ともに開催の数カ月前には資金が底を尽き、公務員の給料遅配が続いた。開催直前まで警備の警察官が遅配に対してストを強行し、混とんとした状態が続いた記憶がよみがえる。

 ブラジルで報道される東京五輪は、新型ウイルス関連のニュースが多い。選手の感染のニュースばかりが大きく取り上げられた。
 

東京五輪を伝えるサンパウロの各紙

 ブラジル選手団が事前合宿を行っていた浜松市のホテルの従業員が新型ウイルスに感染していることも報じられ、開催への不安に輪をかけた。

 日本政府が「安全・安心」を声高にアピールしていたものが瓦解(がかい)した印象だ。ブラジル人の日本に対する信頼はブラジルに渡った日本人移民が100年以上にわたる積み重ねで築かれた。それが今、崩れかけている。世界に約束した「お・も・て・な・し」も今では風前のともしびである。

 開会式にかかわった人が次々と辞職や解任に追い込まれ、ドタバタは最後まで続いた。こちらで開会式が放映されたのは23日の午前8時。朝にもかかわらず多くの人が見たようだ。

 「開会式は華やかさがなかった」「ゲームの音楽を多用していて親近感が持てた」。日系の人々の感想はさまざまだ。日本の感染拡大を気に掛けながら、ブラジルと日本の選手の活躍を期待したい。

◎鈴木雅夫さん(ジャーナリスト)鈴木さんは母が三条市出身です。