【2021/04/05】

 ブラジルといえばサンバ。サンバといえば「リオのカーニバル」だろう。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、例年の2月開催が7月に延期されていた。

 しかし、それでも感染者の増加に歯止めがかからず、頼みの綱のワクチンが手に入る時期も決まらない。主催者のリオデャネイロ市は開催を断念した。カーニバルのパレードはここサンパウロでも行われるが、中止が決まった。

 リオのカーニバルの最大の見どころでもあるパレードは、市内に造られた専用会場「サンボドロモ」が使われる。幅十数メートル、長さ700メートルの直線道路の両脇に階段状に観客席が用意され、7万人が入場できる。

 ここに1チーム数千人の踊り子やバッテリアと呼ばれる打楽器隊を抱える特別チームがいくつもの山車を率いて歌いながら踊り、練り歩く。

 踊り子と観客が一体化し、喧騒(けんそう)に包まれる。「密」の状態が容易に想像できる。

 「ファベーラ」と呼ばれる貧民街で生活している人たちが中心になって、1年かけて準備をして踊り明かす晴れの舞台である。毎年これを楽しみにしているのに、これがなくなってしまった。

 普通なら暴動が起こっても不思議ではないほどの事態なのだが、関係者はリオ市の決定に理解を示している。

 リオのカーニバルは、パレードが終わった翌日から来年の準備を始めるといわれる。テーマを決め、歌を作り、山車のデザインを決めるまでに半年かかる。その後に衣装の縫製、山車の制作、練習に半年を要する。

 もともと、リオのカーニバルは地元の人達が楽しむというよりも観光客相手のイベントの色彩が濃い。一般の人々は市内の一般道路を踊り歩く、昔ながらのカーニバル(ブロッコ)を楽しむ。

 一時期、サンパウロなどではこのブロッコが中止されていたが数年前から復活した。以後、年々大規模になり、老若男女が入り乱れてカーニバルを楽しむのだが、残念でならない。

サンパウロの街角で行われるブロッコ。今年は中止が決まった

◎鈴木雅夫さん(ジャーナリスト)鈴木さんは母が三条市出身です。